僕は30年以上にわたる、産経新聞の愛読者だ。
FACEBOOKの「産経新聞を応援するぞ」グループのメンバーでもある。
巷では、既存マスコミ、特に朝日新聞、毎日新聞、東京新聞への不信感が溢れているが、そんなマスコミの中でも唯一、産経新聞だけは真面な記事が多いと思っている。
軽妙洒脱な文章が多く、毎日読むことを楽しみにしているコーナーだ。
5月21日は、今回の受勲で紫綬褒章に選ばれた囲碁棋士の趙治勲を取り上げていた。
趙治勲は、一昔前は日本だけでなく、世界でも最強の棋士だった。
棋風は、けっして僕の好みではない。
僕は「宇宙流」と言われた大風呂敷の武宮正樹や、「殺し屋」と称された加藤正夫の棋風が、個性的で好きだった。
が、趙治勲は地に辛く、先ずは隅を稼ぐだけ稼いで、後は何とか凌ぎ切る棋風だった。
何となく、如何にも韓国風のセコサを感じ、生来韓国が嫌いな僕は余り好意的には見ていなかったが、勝負の世界は勝てば官軍。
日本語も分からない6歳で来日し、そのやり方で囲碁の最高位を極めたのだから、趙治勲の業績を褒め称えることに文句はない。
産経抄では、趙治勲は今や、機知にとんだエッセイイストとしての評価も高いと紹介している。
そしてそのエッセイの中で、10歳で史上最年少入段者となった、仲邑薫初段を取り上げたらしい。
仲邑初段が韓国で修行してきたらしいので、「願わくば、日本と韓国が仲良くなってほしい。日本も韓国も薫ちゃんへの愛情は同じはずだから」と書いたらしい。
その趣旨についても、全く異論はない。
わすか10歳の「日本人のオンナのコ」を鍛えたのが韓国囲碁界だったのなら、彼女が立派な棋士に成長した暁には、韓国に感謝しなければならない。
また狭量な韓国人でも、韓国で修行した女性棋士なら、応援しやすい気もする。
確かに、日本、韓国の両国で、彼女を応援するバックグラウンドは整っている。
しかし僕は、敢えて趙治勲に言いたい。
こんな意見を持っているのなら、それを日本ではなく、韓国で発表するべきだ。
今の日本と韓国の関係が、累卵の如き危機的状況なのは、誰が見てもすぐに分かる。
しかしそんな状況を作り出したのは、これもまた、誰が見てもすぐ分かるように、一方的に韓国側だ。
こう言うと、「いや、韓国をそんな状況に追いやったのは、歴史問題を蔑ろにする日本に責任がある」と反論するだろう。
しかし歴史問題なんて、どの国にも言い分があり、それを蒸し返している限り、いつまでたっても水掛け論になる。
よって日本と韓国は、1965年に日韓基本条約を結び過去を清算したし、両方に言い分のある慰安婦問題でも、2015年の日韓合意で最終的、不可逆的に解決した。
それを性懲りもなく持ち返し、「謝罪が足りない」と称して金をせびり続けているのが韓国ではないか。
日本と韓国は、隣国だから仲良くしなければならないと考える人は多い。
僕は、その必要はなく、むしろ相手にするべきではないとの考えだが、韓国籍の趙治勲が、両国の友好を願うことにまで反対はしない。
しかしその気持ちは、まず韓国を説得するところから始めないと、日本と韓国の間に信頼感が育まれることはあり得ない。
日本と韓国の友好を願う人は、まず自ら身を挺して、韓国を説得しなければならない。
日本国内で日本人を相手に、「日本と韓国は仲よくするべき」などと言うのは、実質的には韓国への利敵行為に他ならない。