昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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ゴルフ場会員権の損得勘定

ゴルフは、若いころから大好きな趣味の一つだった。

 

それが高じて、ちょうどバブルの真っ最中に、どうしてもホームコースを持ちたいと思った。

当時は、会員権が一億円を超すコースが数多く出現したが、もちろん一介のサラリーマンには、経済的にそんなゆとりはない。

結局は、コースだけは定評があるが、ロケーションが関東の山奥にあるゴルフ場の会員になった。

それでも晴れて、憧れのメンバーさんになれたのだから、うれしくて仕方がない。

 

そこに所属すること10年、プライベートでも仕事でも結構利用した。

が、如何せん、家から二時間近くかかるほど遠いので、通うのが段々と億劫になった。

更に、経営者に問題がありそうだとの噂もあり、「ならばもうちょっと近くて、他人様に自慢できるようなゴルフ場を」と鞍替えした。

こちらはその昔、男子プロトーナメントも開催された立派なチャンピオンコースだったし、某大学の強豪ゴルフ部の練習場としても有名で、芸能人のメンバーもかなりいた。

最初のコースの売却損が5百万円ほど発生したが、税金還付で40%以上を取り戻したので、追加投資なしで新コースメンバーになり、結構リッチな気分になった。

 

ここに所属して7年が経過したころ、このコースもまた、経営難の噂が立ち始めた。

しかも、経営者間の争いごとまで加わっている。

これはマズいと売却を思い立ったが、売れた会員権価格が業者への手数料を払うと手取りゼロの5万円。

それでも税金還付があるのと、このコースは入会時に預り金2百万円が必要だったが、こちらは無傷で残っている。

思い切って5万円で売却して、預り金と還付金にわずかな追加投資で、三度目の正直を狙ってホームコース変更をした。

因みにこのコースは、僕が退会した後は、預り金の返済も滞り、会員権を複数に分割して返済金に充てるような姑息なやり方をしていた。

 

三度目のホームコースは、有名企業の関連事業で、バブル期は会員権が数千万円まで上昇していたところだ。

ゴルフ場の運営は、メンバー優先。

メンバー同士でなら、いつでも自由にプレイができる。

将にメンバーシップ気分を満喫し、通い詰めた結果、多くのゴルフ友人ができた。

仕事を離れたゴルフは、余計な気を遣う必要がないので、純粋にゴルフだけを楽しむことができる。

親しくなったメンバー諸氏に励まされて、ハンディキャップも最高で8までになった。

これこそホームコースと信じ、ここは一生メンバーの積りだったし、できれば子供に譲りたいと思ってきた。

が、定年を迎えて事情が変わってきた。

 

このコースも、家からわずかに25分の距離だったが、夫婦して、もっと近い、わずか5分の距離の河川敷コースのメンバーになったのだ。

距離が近いし、夫婦二人だけでゴルフができるので、当然ながら通う回数も増える。

しかもこの河川敷コースは、年会費が不要。

一方のホームコースは、経営母体の会社が合併して、経営者が変わり、年会費の値上げが続いた。

キャディ付きプレイが特徴なので、ゴルフ料金はセルフプレイの河川敷コースに比べると倍近く高い。

 

色々と悩んだが、ほとんど行かないコースなのに、結構な年会費を払い続けるのは、年金生活者には負担だ。

二人の息子は、一人は「住処から遠い」、もう一人は「金のかかるゴルフには興味なし」で、引継ぐ気はゼロ。

とうとう、生涯通おうと思っていたホームコースを売却することにした。

ゴルフ会員権相場は全くの弱含みなので、売却には梃子摺ると思ったが、幸い、業者に電話した日に購入希望者が現れ、アレヨアレヨという間に商談が成立した。

売却金額は、掛った総費用の15%近くまで下がっていたが、これは経営者が変わったことが大きいのだろう。

また、最近は会員権の売却損は、税金の還付はなくなったらしい。

売却益が出れば課税されるのは不合理だと文句も言いたいが、株の売却もそうなので、こちらもやむなしだ。

 これにてとうとう、河川敷コースだけのメンバーとなったが、妻と二人で老後のゴルフを楽しむには充分だ。

 

ゴルフ会員面に関しては、金銭的には損ばかりだった。

結局はバブル時代に、最初に投資した金額のうち、紆余曲折を経て三回目のホームコース売却で回収した金額は10%程度しかない。

しかし、消えた90%は、30年間メンバーゴルフを楽しんだ代償だ。

そう思えば、悔しさも軽くなる。