昨晩は、ホテル到着後早めに就寝。
時差ボケで眠れないかと心配していたが、まるで杞憂で、疲れの余り泥のように寝入っていた。
ただそうは言ってもヨーロッパ入り初日なので、体内時計は日本時間のままだ。
現地時間、午前3時まで寝ていると、日本は午前10時。
ここまでが限界で、どうしても起き出してしまう。
やることもないので、日本から持参した握り飯と日本茶で、超早めの朝食をとる。
この日は9時50分発ウィーン行きのルフトハンザに搭乗。
ルフトハンザは生意気にも全自動システムだが、何とか早めにチェックインを済ませ、さぁセキュリティチェックとなったが、長蛇の列ができている。
我々夫婦の前は、ロシアマフィア風の五人組が並んでいる。
こんな夏の暑い日なので、革ジャン、入れ墨、ウェストポーチに、財布は鎖付きと、将にギャング映画の悪役そのものだ。
この連中へは、とりわけチェックが厳しい。
五人とも、とうとうバンドも外され、Tシャツ一枚にまで脱がされていたので、その分、時間がかかる。
何とか我々の番になるまで、30分以上も待たされた。
如何にも模範的世界市民風の我々は、すんなりとチェック終了。
続いての出国チェックは、一番近いBカウンターで並ばずに許可を受けて、我々の搭乗口、A-28を探す。
ところが、どこにも見つからない
慌てて地上係員に聞くと、「A-28はアァ行って、コウ行って」とややこしい道案内をしてくれたが、結局はいったん外に出てもう一度手荷物検査からやり直しとなった。
ここもまた長蛇の列で困り果てていると、見かねたバアサン係員が「ついてこい」みたいな話になって、延々と歩き続けたところに隠れパスポートチェックみたいな場所があった。
そこの係員は、いかにも胡散臭そうな顔で我々を見る。
係員「オヌシ達、いつどこから、我が国へ参った」
当方「(権威に弱いので遜りながら」お役人様、日本から昨晩でゴザリマスル」
係員「して、今度は、いかほど滞在する積りジャ?」
当方「(睨みつけられてすっかり上がってしまい)一年でございます」
係員「何と一年とは、怪しいヤツ、即刻ひったてろ、これ、縄を持て」
当方「オ、お役人様、間違いましてございます。一か月でゴザリマス」
係員「で、ウィーンにはいかほどの予定ジャ?」
当方「四日間でゴザリマスル」
係員「その後は、いずこに出向く積りジャ?」
当方「エスパニア、ポルトガルを経て、最後はエゲレスへ向かいます」
係員「では、エゲレスから日本までの通行手形、エアーチケットを出せ」
当方「ヘヘ~ェ、これにてございます」
係員「して、オヌシ達、路銀のユーロはいかほど持っておるのだ?
当方「昨日到着したばかりなので、路銀は、全く所持しておりませんぬ」
係員「何ィ路銀もない、ますます怪しいヤツラメ、ひったてろ、これ、縄を持て!」
当方「いやいや、路銀はありませんぬが、ここにクレジットカードがあります」
と、さんざんに問い詰められる始末。
「イヤァお代官様、ここにホラ、もう通常手形は頂いておるんでありますよ」と出国許可印を説明しても、結論は「もう一回、最初からやり直しを命じる!」。
最終的には、同じ手続きを繰り返す羽目に陥り、何と同じ日付の出国許可印が二つも並んでしまう異常事態となった。
それからまた、A-28搭乗口まで延々と歩かされ、あれだけ余裕綽々だったはずが、搭乗口到着は出発間際。
何とか間に合ったからよかったものの、一時は冷や汗もののドイツ出国だった。
ウィーンまでの飛行は、極めて順調。
列車でウィーン駅まで移動し、次に地下鉄でホテルを目指したが、目的駅カールスタッツと正反対の方向にケラースタッツ駅と同じような名前の駅があるので乗り違え、戻ってくるのに一苦労。
何とかホテルにチェックインするまでに、汗でドロドロになってしまった。
少し遅めの昼食は、懐かしい日本料理店「日本橋」へ。
客の大半は日本人観光客だが、この店のうどんは高いが旨い。
本日のメインイベントは、ウィーンスターツオパーで、フローレスの「マノン」鑑賞。
夜10時までなので、時差ボケで途中で寝てしまうのが不安だ。