朝、4時半に目を覚ます。
昨日の歩行数は12千歩。
ヨーロッパ到着以降、平均すると1万歩を超えて歩いている。
知らない土地を歩く緊張もあり、かなり疲れ果てているのが実感される。
それでも朝食で、パンと妻手作りのサラダと食べると元気が出てくる。
午前11時半までホテルで休養し、昼食はフランスの有名パン屋、PAULへ。
生ハムサンドとコーヒーを頼んだが、パンが固すぎて噛み切るだけで一苦労。
コーヒーは、例によって苦いだけで全く美味くない。
それでも腹いっぱいにはなったので、いよいよ地下鉄に挑戦する。
ところがこちらもご多分に漏れず、チケットを買うことが大変だ。
駅員を見つけてやり方を聞くと、目にも止まぬ早業で、あっという間に手配が完了したので、全く参考にならない。
その後は、「ここから、チケットをこう出して、この方向の列車に乗れ」と、親切な彼のアドバイスに従った積りが、逆方向に乗ってしまい、慌てて次の駅でUターン。
地下鉄に乗るのは、苦労が多い。
この日の目的地は「アマリア・ロドリゲス記念館」。
アマリアはファド歌手として有名で、日本でも二度ほど公演している。
最寄りのRATO駅前で、道順を確認しようと不動産屋に立ち寄ったら、アパートを借りに来た客と勘違いされたが、事情を説明すると親切に教えてくれた。
記念館に到着するが、受付に誰もいない、
大声で「Hello」と呼びかけたら、中からオニイチャンが出てきて、「ガイドをつけるから、ここで10分待て」と言う。
こちらは、「そんな七面倒くさいヤツはいらない」と断ると、「ここではガイドなしでは見学できない」と言われた。
靴にプラスチックカバーをつけさせられ、さっきのニイチャンがガイドに早変わり。
最初は聞き取りにくい英語と思っていたが、実際の説明は実にわかりやすかった。
全行程終了後、「是非とも感想を日本語で書いてくれ」と頼まれた。
「但し、良いことを書いてくれ」とウィンクするので、「素晴らしかった」と書いて「Wonderful!」と説明すると大いに喜んでいた。
次は28番市電で市内観光をするために、バス停の「エストレーラ聖堂」を目指すが、この道が30度近い急勾配の坂が500mほど続く。
昨年11月にカテーテル手術をした身としては、この坂を上るのは結構堪えた。
市電はゆっくり、ガタガタしながら走り続ける。
リスボン市内は坂が多いし、しかも急な坂があるので、確かに市電で観光するのは理にかなっているが、一人3ユーロは高い。
夜は、近所の日本料理店「TASCA KOME」へ。
リスボン一、即ちポルトガル一の日本料理店との触れ込みだったが、期待に違わず、ウマイ!
妻は太巻き、僕はズケ丼と味噌汁。
ブラジル出身のウェイターが、一所懸命に日本語を使うのがいい。
隣の席は、現地日本商社の二人組が、日本から来たゲストを接待していた。
こんな異郷の地で、日本人が一番喜ぶのが、日本並みの日本料理を出す店で接待することだが、自分の現役時代を思い出して、「皆、頑張れよ」と、心の中でエールを送った。
後は、外国人ゲストばかり。
この地でも、日本料理は大ブームだ。
確かに、馬に食わせるほどの量が出てくる現地料理に比べ、日本料理は少量だし、脂の使用量も少ない、
健康志向が進む中、新鮮でうまくて、しかもカロリー過多にもならない。
世界中で日本料理が人気なのも、充分に理解できる。