午前9時に、ロシオ駅まで赴き、初めてリスボンカードを購入。
これがあれば、大所の名所でチケット購入に並ぶ必要がないし、且つ電車、バス、地下鉄が乗り放題になる。
20ユーロだが、充分に元が取れる。
最初は,、サンタジュスタのエレベータへ。
ここは宿泊しているホテルに一番近い名所だが、リスボン到着以来、観光客が列をなしていたので、いつも断念していた。
しかし、リスボンカードを手に入れ、展望台がオープンする9時半より20分前に到着した。
それでも30人ほどの先客がいたが、さほどの待ち時間ではなく、エレベータを利用した後は、細い螺旋階段を上って展望台に到着する。
下りは、エレベータを使わず、カルモ教会の横を通って通りに出た。
しかし冷静に振り返れば、この道を逆に進めば、長い列に並ぶ必要もないし、何よりエレベータの使用料も不要だ。
尤も、教会の横をすり抜けないといけないので、神様がそんな不心得者は許さないのかもしれない。
次は15番トラムを利用して、この日のハイライト、「ベレンの塔」を目指す。
ところが大渋滞の中をトロトロ走っていたトラムから、ドでかい異音が発生した。
しばらくすると運転手が、大声で叫んでいて、乗客が全員、ゾロゾロ降り始めた。
どうやら事故にあったようで、横にいた714番バスに乗り換えろと指示している。
何がどうなっているのか分からないまま、兎に角、他の観光客の後追いで、我々もバスに乗り換えた。
ところが、急にバスになったため、どこの駅で下車するのかが分からない。
ここでも付和雷同で、たくさん人が下車するところが目的地だろうと勝手に解釈し、その人たちと一緒に降りようと決めた。
そして実際に、多くの観光客が動き出したのが、「ベレン」駅。
実は、事前に調べていたトラムの下車駅は「ペドロ何とか」だったが、 ベレンの名前からして、下車駅として間違っていないと確信した。
しかし、陸橋から見えるはずの「ベレンの塔」が全く見えない。
それでも前を進む観光客についていくと、「発見のモニュメント」に到着した。
「これがベレンの塔だ」と思い込んだが、全然建物の格好が違う。
道行く人に聞くと、「ベレンの塔」は更に5分ほど先にあるらしい。
気を取り直して歩き始めたが、実際は15分程掛って、やっと目的地に到着できた。
どうやら、二駅ほど手前で下車したようだが、何とか目的地に辿り着く。
だがやはり、入場待ちの長蛇の列ができている。
しかし、この日入手したリスボンカードがあれば、優先入場ができるはず。
行列を無視して前に進むと、やはりリスボンカード専用入り口がある。
ラッキーと思った次の瞬間、妻が悲鳴を上げた。
何と、肝心要のリスボンカードを、木製橋の隙間から下に落としてしまったのだ。
リスボンカードの位置は確認できるが、そこに降りていく手段が分からない。
係員に事情を説明するが、どうすることもできないと首を振る。
せめてもの情けで、カードを持っていない妻も入場させてくれたが、その後のスケジュールは全面的に変更せざるを得ない。
ブツブツ言いながら、展望台から下を見ると、五人ほどの観光客が岩場で遊んでいる。
あそこまで行けるのなら、グルリと塔を回り込めば、カードを回収できるかもしれない。
塔から出た後、岩場を伝って進むが、これがバランスを崩したり、足を取られたりの苦戦続き。
ヨタヨタ進んでカードを回収したまでは良かったが、帰路で足を滑らせ、仰々しくズッコケてしまい、足を名誉の負傷で二か所擦りむいたし、転倒の瞬間、胸ポケットからカード二枚とパスポートが飛び出したのには肝を冷やした。
が、何はともあれ、目的のカードを取り戻した。
これでもう一度、乗り物も使い放題だし、次の目的地「ジェロニモス修道院」にも行くことができる。
ここでバスを利用してみて分かったが、往路ではやはり我々は早めに下車してしまっていた。
お陰で歩きに歩いて、この日も歩数もまた、1万歩を遥かに超えた。
ジェロニモス修道院の後は、ホテル近くの駅まで15番トラムを利用。
すっかり遅くなったが、昼食としてポリトガル名物「パステル・デ・バカリャウ」を食べる。
チーズ入り、タラの魚のコロッケみたいなヤツだが、塩気が効いて美味い。
尤も、店員とのやり取りが分からないまま、妻が買ったのはアルコール系飲み物とのセットだったようで、余計なものまでついている。
普段の僕はトランプ大統領のように、一切アルコールを嗜まないのだが、セットとなると勿体なくて全部飲むのがトランプとの違いだ。
その所為で酔っぱらってしまい、疲れも重なり、この後ホテルで寝込んでしまった。
夕食は、ホテルの近所をウロウロ探して、最後はイタリアンの「ダマ・エ・バガブンド」へ。
最初の目的店の店構えが、見るからに料理が不味そうだし、客が一人もいない。
しかし他にどこにも適当な店がなく、やむを得ずの飛込みだったので、あまり期待していなかったが、今までのどのイタリアンよりも美味しかった。