今回のロンドン訪問目的の一つが、ケンウッドハウスを訪問すること。
そこには門外不出の世界的名作、フェルメールの「ギターを弾く少女」がある。
この絵を見るためには、何が何でも、ロンドンの片田舎、ハムステッドにあるケンウッドハウスを訪れないといけないのだ。
交通手段は、地下鉄を乗り継いでアーチウェイ駅に行き、そこから210番バスを利用してStormont Roadで降り、後は徒歩数分。
初めて、ロンドン名物二階建てバスに乗った。
玄関のドアを開くとオバサンがいて、「Welcome to Kenwood House.」と、きれいなクイーンズイングリッシュで迎えてくれる。
恐る恐る、「チケットはどこで買うの?」と聞くと、「ここはフリー、いくばくかの寄付を頂くことはあるが、それも任意」と気前が良い。
「鑑賞ルートは、先ず左折して」と、実に親切だ。
それではと、名画鑑賞開始。
最初の部屋は、見事な階段を見るだけで、次の部屋にはターナーの風景画がデンと鎮座している。
そして次の部屋、先ず右側にレンブラントの自画像があり、少々興奮して見回ると、何と左側の壁に、彼のフェルメールの絵が、まるで無造作に展示されていた。
普通ならフェルメールクラスの絵画は、特等席にデンと鎮座されているものだが、ここではまるで、その他普通の絵と同じ扱いだ、
無論、先客夫婦が立ち止まって見入っているが、客自体が数人しかいないので、すぐ順番が回ってくる。
日本でフェルメール展が開催されると、押すな押すなの大盛況になり、ゆっくり鑑賞なんて夢のまた夢だが、ここでは、いくら粘っても誰からも文句を言われない。
この部屋の係りのオジサンが、本当の好き者には絵の解説をしてくれるが、割とわかりやすい英語なので、難しい内容だが何となくニュアンスが伝わってくる。
他にも各部屋に、世界的名画が並んでいるのだが、これをタダで公開するとは、何とも太っ腹な家だ。
ケンウッドハウスは、広大は庭園も有名だが、この日はどこかの若者グループのフェスティバルが開催されていて、ロックミュージックがガンガン鳴り響くので、早々に撤退した。
帰路、土曜日のバスツアー集合場所を確認に、地下鉄ヴィクトリア駅に立ち寄る。
ところが経由のレスターフィールド駅を通る列車と通らない列車が同じ線を走っているので、どれに乗っていいのかが分からない。
適当に最初に来た列車に乗って、中で路線図を見ていたら、妙なアジア人が日本語で声をかけてきた。
事情を説明すると、「この列車はレスターにはいかないが、自分が、時間があるから案内する」と、滅茶苦茶に親切なことを言う。
日本に留学していた中国人と自己紹介したが、実は、外国でこんなに親切過ぎるヤツは怪しいと相場が決まっている。
案の定、と言うか、本当に親切心からなのかもしれないが、「近所にチャイナタウンがあるので寄らないか?」とか「観光は終わったのか?」とか聞いてくる。
嫁が、「観光は終わったのでホテルに帰るところだ。事情は分かったから、ここで結構です」と丁寧にお礼を言って別れたが、何とも得体のしれない親切中国人だった。
土曜日の待ち合わせの指定場所は、例によって割りにくい。
わずか10分弱で到着するはずの場所に辿り着くまで、合計で五人に道を聞いた挙句、やっと目的地らしくモノを発見。
昨晩の劇場への道案内もそうだったが、外国人は困っている人に道を聞かれると、知らないのにいい加減な方向を教えてくれる人が多い。
無論、親切心からなのは疑いようがないが、真反対の方向などを教えられると、結果として大迷惑を被る。
知らないのなら、「分からない」と答えるのが本当の親切と思うが、さりとてこちらも、藁をも縋りたい思いなので、情報の取捨選択が難しい。
最終的には、常にトライアンドエラーを繰り返し、何度も何度も質問を繰り返す羽目に陥る。
すっかり疲れ果て、ホテル横のスーパーで昼食用の果物とミネラルウォーターを購入して、ヤットコサ帰ってきた。
夕食は軽く日本食をと、この界隈では有名な「TOMBO」でラーメン。
店の中は日本ムード満載だが、肝心のラーメンは、日本のレベルでは少々高めのインスタント並み。
異国なので割り引いても、精々マアマアの評価までだ。