立花孝志は、超一流のエンターティナーだと思う。
次々と面白いネタを提供して聴衆を飽きさせないが、今回は、マツコ・デラックスとのバトルが、思いもかけなかった場外乱闘へと発展した。
この人は、Twitterの世界では、知らない人がいないほどの有名人だ。
筋を通す一言居士で、弱きを助け、場合によっては資金援助をも惜しまない。
理不尽に攻撃されると、豊富な資金にモノを言わせて、とことん相手を追及する。
よってネット社会では、「正義感溢れる国士」として敬う熱烈な高須信者が多く、彼のTwitterフォロワーは50万人を遥かに超す。
この高須が、マツコ・デラックスのファンらしく、立花孝志のマツコ批判をTwitterで反批判したのが事の発端。
当初は、高須対N国党支持ネット民の論争だったが、途中で高須が立花に誕生祝のツイートをしたところ、自分がブロックされていたことが判明。
これを批判したことで、第二ラウンドに突入した。
高須は、「自分は勝手にマツコの職場に押しかけていながら、反対意見をブロックするのはダブルスタンダードだ」と主張した。
これには賛成意見も多く、ネット社会では「立花、敵前逃亡」のような雰囲気になっていたが、満を持したような立花の返答が凄い。
「私が高須氏の対応をしないのは、彼が数字を持っていないからです」
「公共の電波を利用した一方的批判には対応するがネットでの批判には対応しない」
「直接会う討論、テレビコメンテータやYouTubeは相手にするが、その他は無視」
と切り捨てた。
立花の考えは、
「喧嘩をするのなら、自分が一番得意とするしゃべくりケースだけに限定」
「短い文章で相手をやっつけるTwitterは(不得手だから)御免被る」
のようだ。
確かに今の立花孝志に、口喧嘩で対抗できるのは、橋下徹、百田尚樹、桜井誠くらいのもので、後の連中は束になって掛っても勝てっこない。
兎に角、頭の回転が速く、正しいとか、間違っているとかの前に、詭弁を弄してでも相手をやっつけるディベート手法の達人だ。
しかも、敵と認定した相手は、大声を挙げたり、法律知識をちらつかせたりして、徹底的に追い込んでいく。
相手は、余りの価値観、正義感の違いに、半ば呆れ、最後は言葉を失うので、はた目には完全に立花に論破されたように見えてしまう。
そんな、相手にするだけで辟易するようなオトコなのだ。
いくら高須が、ネット社会で尊敬を集めていても、御年既に74歳。
瞬時に何らかの理屈を思いつき、まくしたてる立花を相手に、瞬発力で劣る高須が面と向かって論争すれば、間違いなくやり込められる。
だからこそ立花は、文章のやり取りではなく、論争に拘ったのだ。
その証拠に、得意のはずのTwitterでも、高須は既に立花に付け入るスキを見せている。
日頃は短いながらも冷静沈着な文章で自己主張する高須だが、相手が立花となると感情が高ぶるようだ。
またマツコ可愛さの余りか、
「アポなしで職場に押しかける自由はない」
「僕がマツコさんの立場なら、迷わず警察に通報する」
「立花さんが僕をブロックするなら、マツコさんにも立花をブロックの権利がある」
と、情報不足のツイートミスを仕出かしているが、その極めつけが、
「マツコさんはN党批判の、声なき声を代表している」
だった。
こんなことを言えば、却ってマツコやMXテレビの足を引っ張るのだが、頭に血が上った高須は客観的判断ができていない。
(このツイートは現在見当たらないので、流石にマズイと注意され、高須本人によって削除されているかもしれない。)
ここから、高須派、立花派が入り乱れての大論争になったが、もしも両氏の会談が実現したら、立花が「高須さん、少しは放送法を勉強しなさい」と小馬鹿にするネタを事前提供したようなものなのだ。
高須は、ネットと公共の電波との違いさえ、全く理解していない。
一方の立花は、15年近く、ただひたすらNHKと戦い続けてきたのだから、放送法の隅々まで熟知している。
言わば高須は、ロクに専門知識も持たないまま、相手の得意分野で勝負するようなものなので、最初から勝ち目などない。
それでも高須は、マツコ可愛さの余り、ムキになって立花を攻撃している。
また立花から、「数字を持っていないから相手にしない」などと煽られて、「俺は天下の高須だぞ」と、屈辱感に満ち溢れているようだ。
立花の主張は、「マツコは公共の電波を使ってN国党を攻撃したのだから、放送法の理念に従ってN国党にも反論の機会を与えろ」で、理に適っている。
また公共放送は放送法を守るべきで、TwitterやYouTubeとは全く違うとも言っている。
ここで、高須が立花をやり込める可能性はゼロだ。
実は僕は、高須克弥院長を熱烈に支持していた。
一度、高須「夫妻」と会うチャンスがあり、その飾らない人柄に好感を持っていた。
また、高須Twitterのフォロワーの一人として、「立花は相手にしない方がいい」と高須本人にツイートしたこともある。
尤も高須にとっては、まるでその他大勢の一人でしかない僕のアドバイスなどに、気が付くはずもないし、何より高須本人が、立花との戦闘モードに突入してしまった。
しかも高須には、立花のハチャメチャな過去のツイート情報が多数寄せられているので、「こんなバカに負けるわけがない」と、立花を見くびっているように見える。
その結果高須は、立花の挑発にまんまと引っ掛かり、ネットテレビで、しかも編集なしで対決すると宣言している。
この喧嘩が実現した場合、討論の議題が議題だけに、残念ながら高須に勝ち目はない。
だから今からでも遅くないので、高須には名誉ある撤退を勧めるが、いいいよとなったら、まるで噛み合わない意見をぶつかりあいにして、訳が分からない結末で引き分けに持ち込むことだ。
それでも、立花孝志の粘着性や、危険な体質の一部を暴くことはできると思うので、それを持って良しとするしかない。
高須も、成り行きだったとは言え、危ない場面に足を踏み入れたものだ。