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伊藤詩織が告発した性被害の顛末

もう二年前のことになる。

伊藤詩織が、当時保守派ジャーナリストとして売り出し中だった、山口敬之にレイプされたと訴えた事件だ。

その後日談が、月刊Hanada10月号に掲載された。」

小川榮太郎渾身の力作だが、事前にYouTubeに三度に亘って予告編のようなものがアップされていた。

 

週刊新潮のスクープで火が付いたこの事件だが、当時、被害者が素顔をさらけ出して、性被害を訴えるのは珍しかった。

しかもその女性が、かなりの美人だ。

加害者と訴えられた方は、安倍首相の信任も厚い、新進気鋭の保守派コメンテータ。

しかもその加害者に、逮捕状が請求されたが執行されず、最終的には不起訴処分となったのは、「官邸の関与」かもしれない。

世間が大騒ぎする要素が、全部詰まっていた

 

世間の受け止め方は、

・伊藤詩織が素顔を出して告発したのだから、レイプされたのは間違いない

・山口敬之は安倍首相の友達だから、官邸の関与があったに違いない

と圧倒的に伊藤詩織に同情的で、「何故強姦魔、山口を逮捕しないのか」と抗議の声が溢れかえっていた。

また、何の証拠もないのに、こんな事件には必ず悪乗りする野党は、女性議員が中心となって、「伊藤詩織に連帯を」と呼びかけていた。

 

僕はちょうどこのころ、Facebookを始めていたが、この事件を巡って、まるで知らないendou某と、そのFacebook上で論争になった。

endou某の主張は、

・恥を忍んで女性が告発したのだから、即刻山口を逮捕して取り調べろ

・強硬に取り調べたら、身に覚えがあるはずだから必ず白状する

と、かなり乱暴なものだった。

僕は、山口本人が否定しているし、最初は不起訴処分なのだから、再捜査の結果を待つべきだと主張したが、endou某はどうしても聞き入れない。

「何故そんなに加害者の肩を持つのか」と、Facebook上とはいえ、将につかみかからんかのような勢いで攻撃された。

いくら、冤罪の可能性を訴えても、「若い女性の心からの告発に嘘などない」と、僕のことを人非人扱いまでしてきた。

ネット社会には、熱血漢なのか単細胞なのか、こんな感情任せの暴論を吐く輩がいる。

 

その後の再捜査でも山口のレイプは立証されず、不起訴になったと思っていたが、民事の訴訟が継続していたらしい。

小川榮太郎は、その事件の概略と、伊藤詩織の主張の矛盾点を克明に説明している。

このレポートを読む限り、伊藤詩織の主張は無理筋ばかりだ。

小川は、「伊藤詩織は反安倍勢力に利用されている」と結論付けている。

 

僕が当時のマスコミやendou某の意見に懐疑的だったのもその点で、この事件はスクープ直後から、反安倍政権キャンペーンに利用されていた。

週刊誌の中吊り広告には、山口を「安倍ベッタリの評論家」と紹介し、安倍政権が加害者、山口を恣意的に救ったかのように描かれていた。

確かにこの週刊誌が事件をすっぱ抜いたころの山口は、安倍政権支持の姿勢が顕著だったので、「安倍首相が関与」の印象を与えれば、政権へのダメージが大きい。

当然、週刊誌の売行きも増えるだろうとの、思惑が見え見えだった。

 

しかし、この事件が起きた時の山口は、弁舌さやかに安倍政権を支持する評論家ではなく、未だTBSの社員なのだ。

安倍首相や首相官邸は、敏腕記者として山口の存在は知っていたかもしれないが、自分たちがリスクを冒して便宜を図るほどの関係ではない。

むしろ、捜査介入の可能性は、社員を守る動機があるTBSとしか思えなかった。

その後の推移は、伊藤詩織側に極めて不利で、「伊藤詩織を守れ」みたいな運動も尻すぼみとなってきた。

その分を伊藤詩織は、海外メディアに出演し、自分のレイプ被害を訴えているようだ。

 

小川によると山口は、この伊藤詩織の訴えで仕事を失い、家族を失意のどん底に落とし、しかも父親は息子を信じつつも、悶々とした思いの中で死んだと言う。

将に、一夜にして全てを失ったのだが、その原因が伊藤詩織によるでっち上げ強姦事件だとすれば、やりきれないだろう。

 

しかし僕は、この事件に関しては、最初から「山口敬之は自業自得」と思ってきた。

勿論、本筋の事件は、伊藤詩織による冤罪だろう。

しかし当時TBS幹部社員だった山口は、就職の相談に来た伊藤詩織と痛飲し、酔った彼女をホテルに連れ込み、且つ性交に及んでいる。

小川はこの部分を「二人の間に性交があったのは両氏とも認めている」とサラッと書いているが、「オイオイ、それはマズいだろう」と突っ込むところだ。

 

性交が合意だったか、あるいは強姦だったのか以前に、最初のイエローカードとして、女性が前後不覚になるほど、アルコールを飲ませてはいけない。

続いて二枚目のイエローカードだが、酔いつぶれた女性を、自分が宿泊するホテルに連れ込んではいけない。

これはセクハラ、パワハラ疑惑を回避する、基本中の基本だが、山口は二つのミスを犯しもうレッドカードなのに、更に悪いダメを押して、性交にまで及んでいる。

ここまで行くと、例え二人の間に合意があったとしても、道義的責任は免れない。

山口がTBS幹部の立場を利用して、就職の相談に来た独身女性を、下心を持ってカモにした疑いが消えないからだ。

密室の行為を、セクハラとパワハラと訴えられた時に、申し開きができない。

だから、そんな場面は作ってはいけないのだ。

 

勿論、伊藤詩織には、「これを武器に就職したい」との企みがあり、山口はそれにまんまと引っ掛かったのかもしれないが、いずれにしても軽はずみ過ぎる。

小沢榮太郎は、山口に極めて同情的にレポートしているが、山口に油断があったことは間違いなく、これはまた会社員としても社会人としても、致命的な失態だ。

 

民事の裁判はいずれ結審して、判決が出る。

小沢榮太郎が指摘している通りなら、山口は晴れて、法律的な身の潔白は証明される。

しかし、伊藤詩織と性交に及んだ行為は消し去れない。

それがある限り、マスコミへの復帰は無理だろう。

二年前の、颯爽とした解説者の仕事をフイにしたのは、山口のファンだった僕にも何とも勿体なく感じられるが、これも「身から出た錆」。

社会人には、酒を飲んだ時ほど、身の程を弁えた行動が求められる。