お騒がせYouTuber国会議員、立花孝志が、またもひと騒動起こしている。
折角手に入れた国会議員の地位を投げ出すのだから、巷ではいぶかる声が圧倒的だ。
また本人は「勝てる選挙と分析した」らしいが、そんなこと誰も信じていない。
自民党、公明党ですら、勝算がないから候補者を立てないのに、前回の知事選で3%程度の得票率だったN国党候補者が当選するはずがない。
そんなこと、元より立花は織込み済みだ。
彼の狙いはただ一つ、この選挙で立花孝志とN国党の名前を売ることだ。
そんな観点から、今回の立花の立候補騒ぎを見ると、この選挙に党首自ら立候補するN国党の目論見が分かってくる。
先ず、実質的なライバル候補者は、前の埼玉県知事、上田清司一人しかいない。
言い換えればこの選挙は、上田清司の信任投票みたいなものでしかないのだ。
上田陣営が、N国党の立花をライバルと見做しているかどうかは不明だが、立花から見れば、相手は一人だから悪口を言うにも作戦が立てやすい。
そうは言っても、自民党、公明党ですら対抗馬がいないほどだから、上田清司が圧倒的に有利なのは間違いない。
しかしそんなに強い候補者でも、知事を四期も続けていれば、利権から遠ざけられた反対派勢力や、個人的なアンチ上田の人たちが存在する。
また上田清司は70歳を超える高齢候補であり、後継知事も密室の話合いで決まったなどと批判材料はある。
いつも政権与党を支持している有権者は、上田清司に投票するより、上田の対抗馬への投票を選択するかもしれない。
更に、お騒がせN国党党首、立花孝志が立候補すれば、いつもなら政治に無関心な有権者が興味を持ち、立花に一票を投じることも期待できる。
そんな層まで取り込めれば、前回知事選のコア支持者3.2%が一気に十倍まで増えることも夢ではない。
N国党が、反上田派の受け皿になる可能性は、結構高いのだ。
そこで立花は、「勝てる」とホラを吹くのだが、冷静に観れば、それでも上田清司候補者を上回ることはないだろう。
しかし立花の狙いは、今回の参議院補選での勝利ではない。
その次の選挙で、N国党国会議員を大幅に増やすことにある。
ならば、今回の埼玉補選で、様々な経緯からN国党に投票した有権者については、なにがしかの歩留まりが期待できる。
加えて、この選挙戦を通じて、マスコミがN国党を取り上げれば、全国的規模でN国党の知名度が上がる。
立花孝志の参議院議員辞職と、埼玉補選立候補は、立花本人にとっても、N国党にとっても、プラス面が多いのだ。
いつものことながら、こんな立花のやり方には、強い批判がある。
しかし立花は「今の選挙制度では、批判も無関心も0だが、N国党に関心を持って貰えばプラス1の可能性が出てくる」と見ているので、N国党への賛否が入り乱れ、N国党が話題になる状況は大歓迎だ。
何としても目立ちたい一心の立花孝志とN国党にとっては、N国党の名前を売るチャンスとして、埼玉参議院補選ほど条件が整った選挙戦はない。
よってこの選挙戦の関心は、上田と立花のどちらが当選するかではない。
最終的に、N国党の得票率は、3%からどれほど上乗せがあるかだけだ。
もしも得票率が30%を超えることでもあれば、N国党は大勝利だし、10%程度なら、立花ギャンブルは不発だったとなる。
そう思って見れば、自分と全く無関係な埼玉参議院補選を楽しむことができる、
さすが、エンターテイナー立花孝志!
政治を面白くしてくれるものだ。