秋の日本は、スポーツ花盛りだ。
それは大変うれしいことだが、何もここまで集中的にスポーツイベントを開催しなくてもと思うくらいだ。
その筆頭は、ラグビー。
四年に一度のワールドカップが、アジアで初めて、我が日本で開催されている。
しかも、日本が絶好調。
何と、世界の強豪アイルランドを下し、予選リーグのトップにたっている。
このままいけば、悲願の決勝リーグ進出も夢ではない。
その運命の日が、13日の日曜日なのだ。
あいにく会場が台風の直撃を受けるリスクがあり、僕のような、俄かサッカーファンは、日曜日は朝から不安と期待が交錯する。
木曜日には、サッカーワールドカップ二次予選もあった。
これは相手が格下のモンゴルなので、6対0で日本の圧勝。
たまたまW杯ラグビーの試合がない日だったので、暇潰しに見てみたが、モンゴルのシュートはゼロ。
ここまで実力差があると、まるで面白くない。
やはりスポーツは、ハラハラドキドキ感がないと、見る気がしない、
バレーボールのワールドカップも、日本で開催されているようだ。
「ようだ」と言うくらい、こちらは完全にラグビー人気に食われてしまって、ほとんど話題にもならない。
バレーボールの追っかけでもない限り、テレビ中継も観ないだろう。
折角ワールドカップと銘打って開催するのなら、ラグビーとの日程調整が必要だった。
選手は一所懸命なのだろうが、それが話題にもならないのでは、頑張り甲斐がない。
更には、野球のクライマックスシリーズまで同時期に行われている。
僕に言わせると、クライマックスシリーズそのものが、今まで営々と続いた日本シリーズの価値を毀損するものだ。
半年近く戦ってきて優勝しても、リーグ3位のチームが下剋上で、日本シリーズに出場するチャンスがあるなんて、どう考えてもおかしい。
そうは言ってもクライマックスシリーズは、ペナントリーグ終盤の消化試合をなくすために、今やすっかり定着している。
それなら、クライマックスシリーズチャンピオンと、日本シリーズチャンピオンの二つのカップを用意すればいいと思う。
例え両方共に同じチーム同士の争いになっても、ファンは二度楽しむことができる。
サッカーの本場、ヨーロッパでも、W杯以外に、チャンピオンシップと欧州カップなどのビッグトーナメントを開催している。
しかし頭の固い日本の野球関係者には、そんな考えは皆無のようだ。
外国人と話していると、しばしば「日本で一番人気のスポーツは何?」と質問される。
アメリカではアメフト、バスケ、野球、ヨーロッパ、南米ではサッカー、インドではクリケット。
国民性なのだろうが、彼らなりに国家を挙げて熱中するスポーツの種類が違う。
こんな時、ウケ狙いで「相撲」と答えると話が弾む。
一昔前の、日本での一番人気のスポーツは野球だった。
しかし世界的に見れば、野球が盛んな地域は限定されている。
オリンピック競技からも外され、野球圏ではWBCなど国際的トーナメントを作り、必死に盛り上げているが、その他地域では全く関心を持たれない。
野球人気は、アメリカだけで盛り上がり、それ以外の国では先細りになるはずだ。
そこで世界一人気があるサッカーが、日本でも大人気になった。
日本もW杯出場の常連国になり、世界を相手に結構善戦する。
一時期は、猫も杓子もサッカーファンの様相を呈し、Jリーグチームのサポーターも増えてきた。
しかし実はサッカーでは、日本では人気抜群のW杯が、世界最高峰の戦いの場ではないことも分かってきている。
ヨーロッパの強豪国には、W杯は地域ごとに出場枠があるので、自分たちより実力で遥かに劣る地域の国々が出場するのが面白くない。
日本にとってはW杯出場は死活問題だが、ヨーロッパではW杯よりチャンピオンシップの方に力点が置かれている。
日本でサッカー文化が定着するかは、全て、Jリーグが世界に魅力ある存在に成長できるかにかかっている。
現状は、中国がチャイナマネーに物言わせて有力選手をかっさらっているので、サッカー人気を盛り上げるためにはも、日本も安閑としてはいられない。
ところが、今年になって、多くの日本人はラグビーの面白さに気が付いた。
実際に世界レベルのラグビーを見ると、ラグビーのほど血沸き肉躍るスポーツはない。
ラグビー素人にとっても、ルールに疎くても楽しむことができるのがありがたい。
更には、他のスポーツに比べれば、選手のマナーもよろしい。
肉弾戦だから選手同士の接触によって興奮することはあるが、それでも試合が終わればノーサイドとなる。
また、反則プレイも、選手やコーチが審判に食って掛かったりすることも、他のスポーツより圧倒的に少ない。
自己犠牲を厭わない試合内容も、いかにも日本人好みだ。
スポーツにも栄枯盛衰がある。
今回のラグビーW杯をきっかけに、日本でラグビーファンが急増するに違いない。
サァ今晩は、天下分け目の対スコットランド戦だ。
日本を応援しなくちゃ。