イヤァ、疲れた!
まるで自分がボールを持って、相手を切り裂き突進したような、あるいは相手を、ゴール直前で止めたような。
同じように体を動かし、気合を入れていたモノだから、終わった後はもうクタクタ。
疲労感は半端じゃない。
こんなスポーツって、ラグビー以外にない。
サッカーもボクシングも、見ていてやはり興奮はする。
サッカーのゴールが決まればガッツポーズが出るし、ボクシングのKOパンチには声も出る。
しかし見ていて、自分がこれほど体ごと一体化するのは、ラグビー以外にない。
予選リーグ(プール戦)最終戦の、日本対スコットランド戦は、台風19号襲来で、ちょっとした因縁試合となっていた。
スコットランドは、天候の所為で中止になれば、不戦敗で予選敗退になる。
焦りやいら立ちがあったのだろうが、スコットランドラグビー協会とタウンゼント監督の発言は、明らかに言いすぎだった。
曰く
「原っぱでもいいからやるべき」
「中止にすれば法的措置も辞さない」
これに対して、日本のジェイミー・ジョセフ監督が、
「大会関係者は全力を挙げて開催へ努力している」
「しかし不測の事態で中止なら引分けになる規定にはスコットランドも署名している」
「日本は今までティア1チームとも、堂々と戦い勝利してきた」
と切り返し、舌戦となっていた。
しかしこれは、一方的にスコットランドラグビー協会とタウンゼント監督が悪い。
W杯の大会規定で、プール戦の会場変更は認められていないのだ。
台風19号のような、戦後最悪の台風の災害が予想される事態で、人命最優先の決定が下されることに文句を言うのは、紳士のスポーツ、ラグビーの関係者としてはあるまじき行為だ。
そんな経緯の中で、13日、日本対スコットランド戦が開催されたのだ。
試合内容は、日本の完勝!
..........とは、言い難い。
前半は楽勝ムードだったが、後半に入るとスコットランドの猛反撃を受けて、ハラハラドキドキの連続。
スコットランドの選手がボールを持って突進すると、自分も椅子から立ち上がり、「止めろォ~ッ!」「日本、頑張れ~ッ」と大声をあげる。
最後の5分間は、自分もスクラムの中にいるような気分で、80分の時間の経過がまどろっこしい。
ボールをけり出し、勝利が決まった後は、虚脱感さえ漂うほどの興奮だった。
後は、選手のインタビューまで、しっかり鑑賞。
驚いたのは、監督も選手も、全員が台風の被災者への配慮を口にしたこと。
「自分たちが活躍することで、少しでも被災者が元気になってくれれば」と言われると、スポーツの持つ気高さを感じる。
個人的な自慢だが、僕は福岡堅樹がスタメンと聞いた時に、彼の活躍を確信していた。
あの快速なら、スコットランドに充分通じると自信があったからだ。
その思惑通りに、福岡選手が縦横無尽の活躍で、日本を勝利に導いたことがうれしい。
僕は、彼らの人知れない苦労を知っている。
自分もまた、一緒になって努力し、彼らを見守ってきた。
彼らは、ベスト8進出を目標に、どこの国の誰にも負けないほど、努力を重ねてきた。
当初は、日本人のほとんどが、そんなこと駄目だと思っていた。
しかし、彼らの努力を見ていた僕だけは、絶対にできると信じていた。
オフロードパスもスクラムも、教えたことを忠実に実行してくれた。
自分がどれほど彼らの役に立ったのか、自慢になるから控えるが、彼らには分かっているはずだ。
それだけに、彼らの汗と涙で喜ぶ様子は、自分のことのようにうれしい。
また選手たちが、この結果に満足することなく、次の南ア戦に照準を絞っているのも頼もしい限りだ。
おめでとう、ラグビージャパン!
君たちは、日本の誇りだ!
(尚、青の太字部分には、興奮の余り若干誇大妄想気味とか、あるいはまるで事実に基づかない表現が混じっていることもあるかもしれません)