W杯準々決勝、ニュージーランド対アイルランド戦、国歌斉唱の後でひと騒動起きた。
オールブラックスは、恒例の「ハカ」を披露したが、選手の声が聞こえてこない。
アナウンサーは、「ハカの声が聞こえないほどの大声援です」と表現していた。
ところが実際は、アイルランドの大ファンが、「ハカ」の声をかき消すように、大声で応援歌を歌っていたらしい。
これには、賛否両論が入り乱れている。
否定的意見の代表は、「オールブラックスへの敬意が欠けている」だ。
一方の肯定派は、「自分のチームを歌で鼓舞するのは当然」と言うものだ。
「ハカ」とは、ニュージーランドマウリ族が、戦いを前にした示威の踊りで、鬨の声みたいなものらしい。
僕には、選手が適当に歌い踊っているとしか見えないが、オールブラックスには2バージョンあり、振り付けも歌詞も決まっていると言う。
またW杯では、オールブラックスだけでなく、サモアやトンガも、戦前に自国の「ハカ」を披露していた。
「ハカ」は、ポリネシア圏ではごく当たり前のパフォーマンスのようだ。
昔からのラグビーファンには見慣れた光景かもしれないが、僕のような「プロの俄かラグビーファン」には、この「ハカ」は妙な違和感がある。
オールブラックスやサモアの選手が「ハカ」の踊りを披露している時、相手チームは全員が整列してこの踊りをジッと見ているからだ。
オールブラックスは世界ランク一位の強豪だから、マァ敬意を表すことはありだろう。
しかしサモアやトンガの今回の成績は、決して褒められたものではない。
グループリーグで負け込んでいたサモアやトンガが、相手を待たせて「ハカ」をやるって、相撲で下位の力士が、勝手気ままに仕切っているような感じがする。
やるなら、もっと強くなってからと思ってしまうのだ。
勝手に時間を取って、相手を威嚇するのに、おとなしく最後まで付き合う必要はない。
だから、「知らないよ」と、あっち向いてホイをしたらいいのにと思う。
僕は、アイルランドファンがオールブラックスのハカに、大声で歌って対抗したことについては肯定派だ。
五分五分精神なら、オールブラックスのメンバーは、自分たちの「ハカ」が終わった後、整列してアイルランドの歌を聞けばよいだけだ。
それで、戦前の駆け引きはチャラになる。
ついでに、このW杯でジャパンがニュージーランドと戦うチャンスは昨夜で潰えた。
四年後にリベンジ戦があれば、その時には、ジャパン全員が整列して「ハカ」を見守るだろうが、そのお返しに日本選手が「花笠音頭」を踊るのはどうだろう。
雰囲気は一気に和むし、「花笠音頭」の悠長な踊りで、オールブラックスの戦意を削ぐことができるかもしれない。
何より、戦いを前に、相手に示威、威嚇活動をやられっ放しは良くない。
是非とも、「花笠音頭」か、若しくは盆踊りでもいいから、これこそ日本伝統の踊りだと、オールブラックスに強烈な一発をお見舞いしてほしいものだ。