二泊三日の入院も、本日で無事に終了。
晴れて、退院の運びとなった。
この日は、午前3時半に点滴が終わる予定だった。
看護婦がその時間に点滴セットを外しに来ると言うが、まるで深夜なので申し訳ない。
「朝までそのままにしておいていいから」と言うと、放置すると血液が点滴の管を逆流する恐れがあると脅された。
看護婦は、「これが私たちの仕事ですから」と屈託がない。
そう言われても、やはり気になる。
3時15分に自分から目が覚めたが、見ると点滴容器が空っぽになっている。
慌ててナースステーションに行き、点滴セットを外して貰って一安心。
こちらも、晴れて、繋がれていた鎖が外された思いになる、
実は、点滴と入院は、ほぼ同義語だ。
入院すると同時に、点滴セットが取り付けられる。
その後は、風呂に入るとき以外は、いつもこの点滴セットと一緒の生活になる。
将に分身で、入院患者の大半は、点滴セットと一緒に行動するが、その様はまさしく病人でしかない。
その点滴セットが、身体から切り離されると、いよいよ娑婆に戻ることが実感される。
すっかり嬉しくなって、それから二度寝したが、やはり午前6時には起きてしまう。
午前7時に、看護婦が体温、血圧、酸素濃度を測定にくるが、それ以降は8時の朝食までヤルことがない。
朝食が済めば、病院の事務員が、料金を精算した書類と山のような薬を持ってくる。
しかしその事務員が来るのは、「遅くても11時までには」といい加減で、帰心矢の如しの患者にとっては、それまでの間が最後の退屈タイムをなる。
入院は、病気と共に、退屈とも戦わないといけない。
しかし何と言っても、最終的に病院から退院許可が出たのは嬉しい。
自動支払機で代金を精算して、全ての手続きが完了。
愛車を駆って我が家へ到着すると、一気に緊張感から解放される。
入院も二度目だし、性格もすれっからしなので、さほど緊張していない積りだったが、それでもいつもと違った生活を強いられたのだから疲労感がある。
昼食は、お気に入りのラーメン屋で英気を養う。
夕食は、三日ぶりの家庭料理に舌鼓を打ち、今日までは風呂も自粛しなければならないので早々に就寝。
寝床に入って、「無事で良かった」と実感した。