昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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オー・マイ・ブッダ!

僕は55歳までドメスティック専門の担当だったので、海外とはまるで無縁だった。

それがある日突然、全くの会社都合で、海外顧客を相手にしなければならなくなった。

まさしく付け焼刃で、慌ててそこから英会話の勉強を始めたりもしたが、一番の悩みは、外国人との習慣の違いに慣れることだった。

 

初めて海外に出張する時、総務担当から幾つか注意点を告げられたが、日本では当たり前だが、外国では失礼な行為になることなど、聞けば聞くほど憂鬱になったものだ。

それでも外国では、スープを啜る時に絶対に音を立ててはいけないことぐらいは、社会常識で知っていた。

しかし、ゲップが厳禁で、オナラの方が許容範囲と聞いて、食事の後の気楽さ、自由さが制限されてしまった。

また、万一交通事故に遭遇しても、「Sorry.」は禁句とも教えられた。

東南アジアでは、子供の頭を「可愛いね」と撫でると、侮蔑したことになるらしい。

 

中でも驚いたのは、自己紹介の後のスモールトークで、「あなたが信じている神様は?」と聞かれた時に「ありません」がタブー回答らしいことだ。

僕も含めて日本人の多くは、無宗教であることに何ら違和感はない。

だが、神様を信じる敬虔な外国人信者にとっては、信仰する神様がいないような輩は野蛮人で、信頼して共に仕事など御免蒙るような考え方があるらしい。

そう質問されたら、必ず「Buddhist」か「Shintoist」とか答えるように指導された。

 

極めつけは、日本人が多発する「オウ・マイ・ガー」だ。

日本では芸人が、笑いを取るために、ふざける場面で使っている。

勿論これは、「Oh my God.」であり、キリスト教徒が驚いたり嘆き悲しむ時に、神様に対して話しかけるものだ。

我々日本人は、この言葉を面白おかしく使うが、キリスト教徒にとってのGodは、神聖にして犯すべからざる存在なので、ふざけ半分に使用してはいけないらしい。

最近は外国でも多様な価値観が拡がり、キリスト教以外の宗教を信じる人も多い。

その信者への配慮から、今ではGodではなく宗教色を消した「Oh My Goodness.」を使うのが一般的らしい。

 

日本では無頓着ですむ宗教問題も、海外では、斯くの如く注意を払わないといけない。

ならば、神道イストと仏教徒が混じった無宗教徒を自称する僕は「Oh My Buddha!」と叫ぶのは許されだろうか?

そう外国人に聞いたら、ニヤッと笑った。

これは異教徒間でも、どうやらセーフフレーズのようだ。