昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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二人寄れば文殊の知恵

妻の知人が、夫婦で初めての海外旅行を計画しているらしい。

こt6いらは、夫74歳、妻73歳。

この歳まで働き続けた亭主がやっとリタイアしたので、その記念の意味があるようだ。

 

行き先はヨーロッパで、ツアー旅行は嫌らしく、奥方から妻に相談があったとのこと。

我が妻は、海外旅行に関しては、何度も一から十まで自分自身で計画してきた。

「どの観光地がお勧めか?」

「ホテルはどこがいいか?」

質問事項は山とあったようだが、妻の回答は、「初めてなら、ツアーが良いヨ」。

 

聞けば、ご主人の語学力は、良く見積もっても僕程度で、奥方はもっと低レベル。

そんな二人が初めて海外に出かけるのに、相談相手がいないのはリスクが大きすぎる。

 

我々夫婦は、平均すれば年に一度は、海外に出かけている。

最初のバリ旅行はツアーだったが、早朝から遅くまで、行きたくもない場所に連れていかれ、食べたくもない料理を食べさせられたのが嫌になって、それ以降は二人旅に徹している。

幸いにも最初の頃は、殆ど英会話初心者レベルだった僕だが、行く先々で、会社の現地駐在員が助けてくれた。

そのうちに、僕の英会話も少しずつ上達し、会社リタイア時には「通訳さえいれば、通訳なしで会話できる」レベルまでに至り、日常会話ならさほど不自由しない。

ちょうどうまい具合に引き継ぎができたようなもので、今や夫婦二人だけでも、大過なく旅行をこなせるようになった。 

 

それでも海外では、思いもかけないトラブルに見舞われる。

凝り性の妻が計画しているので、旅行の行程そのものは問題なくても、マイナーなものも含めて、トラブルは否応なく頻発する。

道中、掏摸に会うとか、パスポートを忘れるとかの不注意だけでなく、前触れもなく地下鉄やドイッチェ・バーンでスト発生すると、その都度緊急対応が必須となるが、添乗員がいないので、全部夫婦だけで乗り切らなければならない。

 

我々にとって最悪だったのは、ワルシャワ空港で、チェコ行きの便が機材トラブルの所為で、将に出発の一時間前に突如としてフライトがキャンセルになった時だ。

チェックインも済ませ、手荷物も預けていたのを、別便に変更し、荷物を取り戻し、それを新しい便に預け、夜のホテルに到着遅れを連絡する等、大量のやるべきことが発生し、しかもそれを二人だけでこなさないといけない。

 

中でも一番困ったのは、預けた手荷物をどこで取り戻すのかが分からなかったことだ。

急なキャンセル便の影響で、空港内は至る所に長蛇の列ができているが、そのどこで手荷物を引き取るのか、当時の僕の英会話レベルでは理解できない。

ついつい一番短い列に並んでしまったが、やっと自分の順番になったら「それはここではない」とつれない。

すると妻が、「確か、あの人2-Dと言った」と切り出した。

慌てて場所を移動し、また長時間並んだが、今度は確かにその列で手続きが完了した。

 

僕の英語レベルでは、一人で全部を聞き取るのは難しいが、横に妻がいると、僕が聞き逃したことも聞き取っていることがある。

僕はこの時、確かに「二人寄れば文殊の知恵」を実感した。

 

妻に言わせれば、知人夫婦は海外に慣れていない上に、夫婦仲もあまり褒められたものではないらしい。

そんな二人が、二人きりで初めての海外旅行をするのは余りにもギャンブルなので、親切心で添乗員付きのツアーを勧めたらしい。

確かに、海外で一旦トラブルが発生すると逃げ場がなく、解決には夫婦の協力が必須なので、我々は海外旅行中は「夫婦喧嘩厳禁」をモットーにしている。

 

僕も、夫婦相和しを実現するまでは、ツアー旅行で海外に慣れるのが無難だと思う。