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伊藤詩織は「勝訴」したのだろうか?

判決後に伊藤詩織本人が、「勝訴」のプラカードを持って現れた。

伊藤詩織を応援してきた連中は、「勝った、勝った」とはしゃいでいる。

一方の山口敬之側の応援団は、無様なほど沈黙している。

地裁判決後の対応は、明らかに明暗を分けた。

 

この民事裁判の裁判官は、伊藤詩織の供述には一貫した整合性があり、信頼性があると結論付けた。

例えば、裁判で争われた伊藤詩織からの事後メールについて、山口側は「合意なき性行為をされた被害者がこんなメールを出すはずがない」と主張した。

しかし裁判では、「被告と性交渉を行ったという事実を受け入れられず、従前の就職活動に係るやり取りの延長として送られたものとみて不自然ではない」と判断した。

この裁判官が、同様の事案をどれほどの数、見てきたのかは知らないが、どう考えてもこれは裁判官の主観だ。

違う裁判官なら、まるで正反対の判断を下すことも充分ありうる。

 

また裁判官は、ホテル内の性行為に関しての陳述では、山口敬之のそれは「核心部分で不合理に変遷して」と指摘している。

そもそも当初、山口敬之は、「自分のベッドに、半裸の伊藤詩織が入ってきた」と、伊藤詩織から誘惑されたかの如く語っていた。

しかし裁判では、「(伊藤詩織に誘われ)彼女のベッドに移動した」と、従前とは違う証言をしたらしい。

この点は重要だと思うが、小沢榮太郎の伊藤詩織批判の中では全く触れられていない。

またその後の記者会見で、「何故、性行為に及んだのか?」「就職依頼に来た女性へのパワハラでは?」との質問に対しても、山口敬之は真面な答えが出来ていない。

実際に小沢榮太郎の、渾身の伊藤詩織批判レポートでも、この点については「両者の間で性交渉があったのは双方とも認めている」と、実にサラッと流している。

しかし、山口敬之が伊藤詩織と性交渉を持ったことは、不問にはできない出来事だ。

山口敬之とその支援者にとっては、酔った伊藤詩織をホテルの自室に連れ込み、あろうことか性行為にまで及んだ事実は、やはり致命傷となっている。

社会人としては、如何なる言い訳もできないような不祥事だから、裁判でその点を指摘されるとシドロモドロになってしまう。

 

一方この判決を、「勝訴」と勝利宣言した伊藤詩織側はどうだろう。

密室での性行為に、合意があったか否かが争われたのだから、「合意の上ではなかった」との判決は、伊藤詩織の主張が認められたことになる。

今回は民事裁判での伊藤詩織の要求は、「精神的、肉体的慰謝料として1100万円の損害賠償」だ。

しかしそれなら、「330万円の支払い命令」の判決は、一体どうしたことなのか。

何故賠償金額が、三分の一以下に減額されるのか?

伊藤詩織側が、「どうせ判決では値切られるから、最初の要求額を吹っかけておけ」とでも考えていたら、330万円で勝利宣言することもありだろう。

しかし自らの傷ついた心と肉体への真摯な損害賠償なら、「賠償金額の減額は絶対に納得できない」と、自らも控訴するべきではないだろうか。

 

そもそも、合意していない性行為を強要されたことは許せないと怒っているのなら、相手の山口敬之を、強姦罪準強姦罪で訴えたいはずだ。

伊藤詩織側も、当初はそう動いたが、刑事事件としては立件できなかったので、苦肉の策として民事に訴えた。

今回の民事裁判では、山口敬之の犯罪が立証されたのではなく、伊藤詩織に対して精神的、肉体的迷惑をかけたので、その慰謝料支払いを命じたものにすぎない。

仮に山口敬之が、「ハイ、そうですか」と330万円の慰謝料を支払ったら、それでこの問題はお終いになってしまう。

そんな、330万円の慰謝料支払い命令判決が出たからと言って、伊藤詩織は、果たして勝訴と言えるのだろうか。

 

この事件が注目されたのは、最初の段階で、山口敬之が安倍首相の友達だから圧力がかかり、刑事事件として立証できなかったと報道されたからだ。

その主張を裏付ける証拠は皆無にも拘らず、今でもその手の印象操作が続いている。

しかし、考えても見て欲しい。

安倍政権にとって、いくら自分たちに好意的なジャーナリストでも、その性犯罪疑惑をもみ消すなどのリスクを冒すはずはない。

これもモリ・カケ問題や直近の桜を見る会問題と一緒で、「安倍政権が関与」と大騒ぎはしているが、そのうちに静かになってしまうにちがいない。

 

人権派弁護士の一人、紀藤正樹によると、今回の民事裁判で伊藤詩織の主張が真実と認められた以上、何らかの犯罪が成立する可能性があると言う。

「何らかの犯罪が成立する可能性」とは、何度もファジーな言い回しだが、ことは忌まわしい性犯罪に関する事件だ。

伊藤詩織側が是非とも、刑事事件としての再審を求めて、山口敬之の犯罪性を争って欲しい。