昨年秋からのラグビーファンなので、文字通り、バリバリの俄か仕立てだ。
しかしそこは、「他の普通のファンとは違うぞ」との気概、と言うよりも気負いに近いが、「プロの俄かファン」を名乗ってきた。
そこで、普通のファンとの差別化の意味で、1月に始まったトップリーグも、可能な限りテレビ観戦をすることにした。
そこで気が付いたが、このトップリーグとやらは、結構面白い。
リーグの仕組みなどは未だ分かっていないが、7か月間のプール戦の後、8月にプレイオフと決勝戦があるらしい。
漏れ聞くところでは、16チーム中下位四チームは入れ替え戦もあると言う。
今年は、夏にオリンピックもあるので、少々変則日程になるかもしれないが、秋口までは楽しむことができる。
という事は、年末には、「俄か」がとれた、「真のラグビーファン」に生まれ変わっているかもしれない。
楽しみなことだ。
このトップリーグを見て思ったのだが、やはりワールドカップに比べると、ややプレイの質は劣っている。
ラグビー醍醐味の、トライ直前の押し合いへし合いでも、W杯より些か迫力がない。
一番の違いはトライ後のキックで、W杯ではどの角度からもほとんど成功すると思って間違いないが、トップリーグでは、難しい場所からは半分以上が失敗している。
マァ、世界の最高峰のプレイと、極東の地方リーグを同一視することはできないだろうし、学生リーグに比べれば、トップリーグの選手層は圧倒的に厚い。
四年後のW杯を楽しみに、それまでラグビーファンを引き付けるには、トップリーグはうってつけだ。
ただ改めて、W杯に選抜された代表選手の抜きんでた能力には、敬意を表したい。
W杯戦士31名に選ばれることだけで如何に名誉なのかは、トップリーグでプレイする選手たちを見るとすぐに分かる。
前回のW杯では、第二次候補者は47名で、更に最終選考で31名に絞られた。
二次選抜の47名でも超狭き門なのに、そこから次に進めず、W杯の晴れ舞台に立てなかったのが三分の一、16人もいるのだ。
つい先週引退試合を行った、トンプソン・ルークを紹介した一時間番組を見た。
過去三回のW杯に出場してきたが、年齢的にも今回が最後のW杯。
ルーク選手はその出場を目指し、一か月間に亘る「地獄の宮崎合宿」に耐えたと言う。
そして首尾よく、四大会連続のW杯出場が決まったのだが、彼はその時の感想を「嬉しかったけど、悲しかった」と表現した。
「自分も最後だから、絶対に出たかったので嬉しかったが、自分が選ばれたことで仲間が出場できないことが悲しい」と言うのだ。
自分でなければ彼だったと、具体的な名前を挙げ、そのオトコの人柄を誉めていたが、だからこそ、ルーク選手のW杯での大活躍があったのだと、ルーク選手の人柄の一旦を知り、年甲斐もなく感激した。
こんなトップリーグを支える多くの選手や、そのトップリーグを目指すもっと多くのラグビー選手たちの、毎日の鍛錬と努力が、昨年爆発した俄かラグビー人気だと思う。
日本でのラグビー人気の定着を、願ってやまない気持ちになっている。
もう一つ、ケーブルテレビを見ていたら、2019年M1グランプリの予選大会と敗者復活戦の放送をやっていた。
M1グランプリでは、ミルクボーイが優勝し、かまいたちが準優勝で終わった。
僕は最後の演目だけを見て、両方とも大笑いで、さすがにM1決勝戦と感心していた。
ところが予選大会に出てくる漫才コンビは、どれもこれも名前すら聞いたことがない。
しかも出てくるコンビが、悉く面白くない。
笑うはずの漫才を見ていて、むしろ哀れを誘う気分になり、気が滅入ってしまった。
さすがに敗者復活戦にもなると、テレビ的にも面白さが伝わるが、その分、予選漫才グループとの差が際立ってしまう。
実際に、第一線で活躍している漫才師などはほんの一握りで、大半はアルバイトをしながら、お笑いの芸を磨いていることを知った。
そう思ってみると、どの世界も、サラリーマンの世界だって、他人に認められるまでには、人知れぬ苦労の積み重ねがあるものだ。
ところが、どんなに苦労しても、必ずしもそれが報われる保証はない。
人間は、数少ないその栄光を目指して、必死に足搔き続けている。
一見華やかな舞台の裏側には、最も人間臭い汗と涙が流れている。
だからこそ、ごくわずかの成功した人が、称賛され、憧れの対象になるのだろう。