昨年夏の真っ盛り、7月31日にゴルフをした。
ホームコースが誕生日祝いで、無料招待してくれたカードの染め切り日だったからだ。
しかしそれが二か月ぶりだったし、八が月前の手術の不安感から、おっかなびっくりスタートだった。
案の定、汗が噴き出すと共に息が切れ、最初のハーフで無念のリタイア。
その後は、全くゴルフに行く気にならず、クラブも握らない状態で半年が過ぎた。
ゴルフを初めて50年近くなるが、半年間ご無沙汰したのは初めての経験だ。
しかしそれでも、全くゴルフをやる気にならないのは、いよいよ年貢の納め時が近づいてきたとしか思えない。
そんなこんなで、年が明けた。
すっかり老境の明鏡止水状態だった我が身に、今度は妻のバースディプレゼントの締め切り日が近づいてきた。
それが1月末だった。
体調よりも何よりも、タダほど魅力的なお誘いはない。
そんな生来のシミッタレたケチ根性が、ムクムクと盛り上がってきた。
将に有効期限の最終日、1月31日は、天気は晴朗なれど、北風が強い。
また昨年秋の大雨の時に、我がホームコースの河川敷は全面的に冠水して、二か月間近くクローズ状態が続いた。
その後、何とかオープンにはこぎつけたものの、川に近い方のインコースには未だ大量のヘドロが残っている。
その為に、アウトを二回回る変則オープンとなっているが、その分、乗用カートが無償で貸与される。
未だ未だリハビリ感が強い身には、カートがタダで利用できるのはありがたい。
ここでも、あくまでタダに拘り、タダに感謝する、小市民感覚が抜けない。
ところがこの日は、せっかくゴルフ場がオープンしていても、顧客が極端に少ない。
我々夫婦は、9時半スタートだったが、どうやら遥か先にスタートした組と、我々の直前のコンペ二組の合計四組だけのようだ。
しかも前のコンペ二組は全員が若手で、「腕前に自信がないので先にスタートして欲しい」と打診された。
確かにこのコンペ組は、スタート直後から遅れ始め、ハーフ終了時点では40分以上差がついていたほどだから、先にスタートして大正解だった。
結局のところ、前も後ろも誰もいない、コースを独り占めのような、ゴージャスなラウンドになった。
とは言え、クラブを握るのが半年ぶりなので、まるで自信はない。
しかもスタート直前から、強烈なヘッドウィンド、いわゆるアゲンストの風が吹き荒れる。
ジッと立っていることすら覚束ないほどの風は、全く久しぶりだ。
スタートホールは、二打目クリークが空振りに近く、結果としてはダボ。
ところが次のホールで、三打目バンカーからの50Yアプローチがピンに絡み、パーを取って落ち着いた。
その後も、アプローチが上手く決まり、午前中は43。
昼食の食堂も、我々だけ。
醤油ラーメン+高菜飯を食べて、午後のスタートへ。
少しでも客の興味を引き立てようと、午後からはグリーンを変更しているので、攻め方も変わってくる。
こちらはボギーを取るのに必死だったが、6番からは強烈なテールウィンドになるので、距離が稼げる。
ここからパ~を二つとって、午前中と同様の43でラウンド終了。
妻の方は、僕よりブランクが長く八が月ぶりだったが、元々距離が出ない方なので、アゲ風の影響は小さい。
しかも、15メートル近いロングパットを決めたりして、何といつもより良いスコアで上がり大上機嫌だった。
プレイ後の風呂もまた、貸し切り状態。
チョットした温泉宿気分で、充実した一日となった。
このホームコースは、我が家から直線で4キロメートル、車のドアトゥドアで5分とかからない。
しかもいつでも、誰にも気兼ねなく、夫婦二人だけでラウンドできる。
便利で気楽に利用できる上に、プレイフィーも安いので、健康面だけでなく、老後の楽しみのためにも有り難い存在だ。