橋下徹の肩書は実に豪華絢爛で、テレビコメンテータとしては大物扱いされる。
しかも大半のコメンテータがヒダリ巻きの中、橋下は保守派と目されている。
その鋭い現状分析と、歯に衣着せぬ物言いから、世の中には橋下信者も多い。
また政界から引退宣言した橋下は、自ら創設した維新の会とのつながりは、単なる顧問弁護士、に過ぎないはずだが、今でも実質的オーナーだとの指摘もある。
実際に足立康史などは、日頃いくら勢いの良いことを喋っていても、橋下から一言クレームが入ると、途端に筋を曲げてしまう。
維新時代から橋下に反抗していた丸山穂高が舌禍事件を起こした時は、橋下は外野のはずにも拘らず丸山を痛烈に批判し、維新の会も丸山に除名処分を下した。
いくら本人が、今は無関係と言い募っても、橋下が天下の公党である維新の会に、強い影響力を残しているのは間違いない。
その橋下は最近、フジテレビの報道番組で、コメンテータのレギュラーとなった。
そこで橋下は武漢肺炎に対して、舌鋒鋭く政府の対応遅れへの批判を繰り返す。
その外連味のない口調に、橋下信者だけでなく、多くの日本国民が賛同するようだ。
しかし冷静に聞くと、この橋下の主張は実に危うい。
僕には、公の場で日本の国体を脅かしかねない主張を繰り返す橋下は、根っこの部分で反日思想の持ち主ではないかと疑っている。
そう思うと、橋下の論理や真の狙いが、浮き彫りになるような気がするのだ。
フジテレビの日曜朝の報道番組を二週間続けて見たが、橋下の言っていることは庶民の味方を装ってはいるが、実は無茶苦茶だ。
先週の橋下は、「自粛を要請するなら、休業補償とセット」と強く主張していた。
この限りでは、誰一人反対する人はいない。
しかし橋下は、口が滑ったのだろう、明かにオーバーランした。
「非常事態だから休業補償はドーンとやらなきゃ、財政が破綻したっていいんですよ」
この一言は、橋下が単なる人気狙いの火付け強盗と同じだと、自ら白状したものだ。
韓国の文在寅じゃあるまいし、普通の為政者は、絶対にこんなバカ発言はしない。
実際に国家財政が破綻したら、全国民が塗炭の苦しみに会う。
だからこそ、官民一体となって必死に、落としどころを探っているのだ。
テレビで「財政破綻してもいい」と平然と喋るような輩に、国政を語る資格などない。
今週の橋下は、武漢肺炎の特効薬として期待されるアビガンの認可について語った。
「こんな時は政治判断が必要、後遺症の不安は県が責任を取ればいいんです」
これもまた、許すべからざる暴言だ。
武漢肺炎の感染者は、藁にもすがる思いで特効薬を待ちかねているし、それは世界中の人たちの共通の思いだ。
しかし、アビガンの副作用については、未だ検証段階だ。
患者は、生体実験の道具ではない。
未だ安心できない薬を、患者が待っているからと言って、後遺症の確証もないまま投与することなどあり得ない。
また、橋下の言う「県や国が責任を取る」とは、具体的には何を指すのか?
仮に患者に後遺症が出た場合は、誰かが責任を取るとか、補償を受ければ済むようなモノでなく、下手をすればその人は、一生を副作用で苦しむことになってしまう。
その時には、そんな患者に、誰がどうすれば、責任が取れるとでも言うのか?
また橋下は、県や国が責任を取るなどと軽々しい発言をしたが、県や国は無機質の存在なので、実際には責任の取りようなどない。
その時は、たまたま担当した部署の責任者と担当者の責任になり、その人たちが患者の抗議の矢面に立ち、筆舌に尽くしがたい苦痛を味わうことになる。
橋下の意見は、一見感染者や患者に寄り添うような風を装いながら、実は世間受けだけを狙った空理空論でしかない。
橋下は、自分が差別されてきたことを公にしている。
その時の苦しさや恨みは、差別されたものにしか分からないとも述べた。
それは、そうかもしれない。
日常生活で、差別した側には深い意味がなくても、差別された側を深く傷つけてしまうことはあるだろうとは思う。
しかし、いつまでもそのことを持ち出すのは、一定の時間、自分に苦痛を強いた日本に対して、橋下が悪い感情を持ち続けているとしか思えない。
そんな橋下には、彼の主張通りの政策がとられた結果、日本が立ち行かなくなっても構わないとの、反日思想が根付いているのではないだろうか。
一見歯切れが良く、一般受けする意見を連発する橋下に、僕はそんな危惧の念を持つ。
昔から、差別と韓国が話題になると、橋下は途端に反日の意見を展開する。
僕の不安が杞憂であって欲しいが、少しでも橋下に反日の疑念がある限り、僕が橋下の意見に与することはない。