昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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よく分かる(かも知れない)スターリン論

退屈講座も、早や第六弾!

今回は、

  講座 共産主義界の巨頭にして殺戮魔、ご存知スターリン

  副題 権力闘争に勝っても、死んだらお仕舞いの厳しい世界

 

立憲民主党議員に「有田芳生」と言う、ある意味、名物オトコがいる。

彼の名を、日本人が普通に読めば「アリタ・ヨシオ」だろう。

しかし彼は、「ヨシフ」と読まれる。

これは彼の父親がバリバリの日本共産党員で、当時のソ連共産党書記長で独裁者、ヨシフ・スターリンから拝借した命名だと知られている。

 

選りによって、あの悪名高いスターリンとは?

と、そう思うのは、共産党を知らないキョーサントー素人さんの発想でしかない。

 

スターリンが、自らの地位を守るために虐殺した2千万人ともそれ以上とも考えられる犠牲者など、知ったこっちゃない。

日ソ平和条約を一方的に破って、突然満州に攻め込んできたソ連軍の日本人への蛮行の数々、戦後シベリアに勾留され、生き地獄を味わった旧日本兵の苦しみなど、日本共産党にとっては「カンケーないのオッパッピィ」(by小島よしお)だ。

日本共産党にとってのヨシフ・スターリンは、ソ連に迫りくる反革命の嵐を防ぎ、共産主義国家を守り抜いた「偉大な革命家で鋼鉄の指導者」なのだ。

共産党員だった有田芳生のオヤジが、スターリンに憧れて息子にヨシフと名付けたのも宜なるかなで、その息子は順調に成長し、今や反日活動家として活躍している。

 

そのスターリンは、レフ・トロツキーと、レーニンの後継者を争ったのだが、元々レーニンの意中の人はトロツキーだった。

しかしそこは狡猾なスターリンの真骨頂で、レーニンの死後、党書記長の地位を乱用してトロツキーを追放し、次々と他の政敵も粛正していった。

トロツキーに関しては、メキシコに亡命中にも拘らず刺客を差し向けた。

この暗殺は、犯人がトロツキーの秘書の恋人に成り済ますほど用意周到な計画の下に実行されたが、政敵排除に手段を選ばないスターリンの残忍さ、執念深さが表れている。

 

尤も、この後継者争いでトロツキーが勝っていても、ソ連が世界に迷惑をかけた度合いは、スターリンと大差なかっただろう。

トロツキーは永続革命を唱え、ロシア革命を起点とした世界中の共産主義革命を夢想していたのだから、地道に政敵を粛清することで足元を固め、ソ連共産主義の総本山に仕上げたスターリンと五十歩百歩の違いしかないからだ。

 

スターリンは没後、後継者のフルシチョフに批判された。

途端に共産主義諸国は、蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。

それはそうだろう。

それまでは共産圏では神様扱いだったスターリンが、実は権力維持のために悪の限りを尽くしていたと告発されたら、善良な下部党員ほど動揺する。

フルシチョフスターリン

 ・秘密警察のテロで内部粛清を進めた

 ・恐怖支配体制で個人独裁を固めた

 ・民族大虐殺まで実行した

とボロクソに貶し、それまでの評価を180度変えてしまった。

その後の真相究明で、スターリンは病的なほど猜疑心が強く、自分の敵と見做しただけで、政治家や国民を粛正したことが分かっている。

元々スターリンは、軍事的天才と自称していたが、ナチスとの裏取引でスペイン人民戦線を見殺しにしたし、ドイツのロシア侵攻も見誤るし、政治能力も疑問視されている。

 

しかし日本共産党は、「スターリンのやったことは、共産主義の本家、ソ連を守るために必要不可欠な措置だった」と見ていた。

要するに、大本営ソ連が一番大事で、他の諸国の犠牲はやむを得ないと言い切る、超エリート至上主義なのだが、共産党では至って当たり前と疑問すらもたれない。

そのスターリンが、自国民を大虐殺する大きな犠牲を払ってまで守り抜いた、共産主義革命の総本山、ソビエト社会主義共和国連邦は、今では完全に雲散霧消の空中分解だ。

スターリンが、ドイツから守り抜いた街として称えられていたスターリングラードも、スターリン批判以降は、ヴォルゴグラードに名前を変えられた。

 

「偉大な」スターリンは、ソ連秘密警察KGB出身者で、不気味で恐ろし気な顔の現ロシアの独裁者、プーチン大統領よりも、何百倍も非人間的なオトコだった。 

スターリン毛沢東ポル・ポトなどと同様、世界史に悪名を残す虐殺者だ。

実は他にも、ルーマニアのチャウセスク、東ドイツのホーネッカー、アゼルバイジャンのアリエフ、カザフスタンのナザルバエフ、ウズベキスタンのカリモフ、北朝鮮金日成等々、共産主義体制下で独裁者が生まれるのは必然性がある。

それは共産主義理論において、そのトップは完全無欠な無謬性で飾られるからだ。

 

実際には、そんな指導者などいない。

欠陥だらけの人間が、お互いに知恵を出し、助け合いながら政治を進めていく。

民主主義国家では常に代案が用意され、政権交代を繰り返すことで失政を少なくする。

 しかし共産主義では、このような自制機能が働かない。

一度もミスしたことがないと個人崇拝される絶対的指導者だけが、全ての政治を司る。

その為に、そんな指導者がミスを仕出かすと、政敵を責任転嫁して粛正し、更に独裁体制を固めていく。

 そんな悪循環を繰り返すうちに、結果として共産主義体制は硬直化し、それを誤魔化すために更なる恐怖政治に逃げ込まざるを得なくなる。

スターリンを始めとする共産主義国家の独裁者は、猜疑心と劣等感の塊の人間的資質欠陥以外に、思想そのものからくる当然の帰結のために、最後は全員が破滅してきた。

 

強権的手段で得た名声が、時の経過と共に逆転し、あらゆる場所を占拠していた巨大銅像が打ち壊され、巨大肖像画が引き裂かれる。

独裁者の末路は哀れなものだが、一時期権勢を誇ったスターリンも、当然ながらその例外ではあり得なかった。