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香港が死んだ日

今年も半年が過ぎ、折り返し点となった。

その7月1日、産経新聞一面トップは、黒を背景にした「香港は死んだ」とのインパクトのあるニュースだった。f:id:Sadda_Moon:20200701110143j:image

中国政府が香港安全法を強行成立させ、今迄の一国二制度が形骸化されたからだ。

産経新聞はかなりの紙面を割いて、中国の国際社会への約束違反を糾弾していた。

 

EU諸国も中国を批判しているし、急先鋒のアメリカは、経済制裁も辞さない姿勢だ。

明日は我が身の台湾も、蔡英文総統が「一国二制度など実現不可能なことが証明された」とコメントした。

実際に世界中探しても、面と向かって、中国と中国共産党の今回の措置を支持するような非常識な国などないが、抗議もせずに沈黙する国なら存在する。

恐らくはロシアや北朝鮮は、香港市民の不安や苦しみには、全く無関心だろう。

 

しかし、しかしだ。

実はこれは、「何を今更」の話なのだ。

1997年、香港がイギリスから中国に返還され、一国二制度が始まった。

一国二制度は、1984年、香港返還がイギリスと中国で合意された時に、中国の指導者、鄧小平によって提案されたものだ。

しかし一国二制度などは、欺瞞に満ちた、表面を取り繕ったものに過ぎなかった。

 

そもそも鄧小平が、何故こんなありえない制度を提案したのか?

それは当時の中国共産党には、諸外国を相手に正面切って「香港を中国共産党支配下に置く」と言い切れるだけの実力、国力がなかったからだ。

実際に共産主義を嫌って、香港から脱出する香港人が続出していた。

鄧小平は、最終目的の香港の中国領土化が達成できるのなら「一歩前進。二歩後退」程度の妥協などは朝飯前なので、それを如何にも耳触りの良い「一国二制度」の言葉で、世間体を繕い、中国の本心をカムフラージュしただけのことだ。

 

冷静に考えて欲しい。

それまでイギリスの統治下で、政治的にも文化的にも自由を満喫してきた香港人が、共産党一党独裁の中国政府に従えるはずなどないではないか。

つまり、香港の一国二制度など、将に砂上の楼閣でしかなく、中国の国際的地位が上がれば、香港の自由などすぐになくなってしまう運命だったのだ。

 

だから、香港の自由が中国共産党に侵害されるのは、ある意味では歴史の必然だ。

中国にとっては、今回の香港国家安全法は、既に手に入れていた香港を、文字通り名実ともに自分のモノにしただけのことだ。

そして当然次の狙いとして、台湾を一国二制度の美名で中国のモノにし、続いて南沙諸島に勢力範囲を拡大していくに違いない。

当然ながら、中国のその動きにのターゲットには、沖縄を含まれている。

日本にとっても、今回の香港問題は他人事ではない。

 

中国は、その膨大な人口を背景に、今や世界第二位の経済大国と化した。

共産主義には与しなくても、中国との貿易強化を熱望する諸外国は多い。

そして、我が日本と言えども、その類の国家の例外ではない。

中国共産党の首魁、習近平国賓招待は、猖獗を極めた武漢肺炎の所為で延期になったが、何とか実現させようと暗躍する日本の政治家や経済人が後を絶たない。

しかし全体主義共産主義と、自由競争が前提の資本主義は絶対に共存できないのだ。

 

問題はそんな強権体質の中国を、国際社会はどう受け止め、どう対処するかだ。

中国とは、諸問題を対話で解決することは不可能だ。

何故なら、中国の最優先事項は共産党一党独裁を永続だが、それは自由主義国家にとっては、絶対に認めることができない政治体制だからだ。

実は香港国家法成立の中で、最も具体的且つ効果的な対応をしたのは、アメリカのトランプ政権で、ポンペオ国務長官が間髪を入れず「香港への優遇策見直し」に言及した。

 

日本の取るべき対中国姿勢は、国際的に連携して、アメリカに続いて中国に経済圧力を加えることに尽きる。

日本にとっての喫緊の課題は、差し迫った中国の沖縄侵略工作を防ぐことであり、中国人による日本国土買い占めを防ぐことでもある、

爆買いを期待して、中国からの観光客を招致するなど、国益上は大マイナスだ。

ましてや、一時的、短期的な利益に惑わされた、習近平来日などもってのほかだ。