メルカリ中毒に罹った。
当方ではない、嫁の方だ。
嫁の友人が、「メルカリで小遣い稼ぎをしている」と自慢したそうな。
友人から、「着なくなった和服をメルカリに出品すると、値段をチョイと安く設定するだけで飛ぶように売れる」と吹聴され、「では私メも」と思い立ったとの事。
そこで趣味で収集し、実用使用してきた我が家の食器を出品したところ、即商談成立。
すっかり味をしめ、次々とコレクションを出品しまくり、それが悉く売れる。
かなりの金額を稼ぎ出し、ファン登録も増え、嫁はすっかりご機嫌な日を送っている。
だから厳密には、メルカリの中では、出品中毒と言う方が正しい。
しかし、しかしだ。
なぜ、そんなに売れているのかを考えれば、当方としては喜んでばかりはいられない。
遠慮がちに「設定価格が安過ぎでは」と注意するが、「売れなきゃ意味ナイデショ」と意に介さない。
当方もメルカリを利用したことがあるから良く分かるが、欲しいモノが見つかり「安い、掘り出し物だ」と思うと、その品物の必然性には無関係に、衝動的な購買意欲に駆られるものだ、
もう一度、しかし、しかしだ。
いらなくなった自分の洋服を、メルカリに出品する分には文句は言わないが、食器類に関しては、別段売らないといけない訳ではない。
特に、カネもない若い頃に、当時としては無理に無理をして購入したものが大半だ。
使うチャンスは少ないかもしれないが、それでも愛着のあるものばかりなのだ。
そんなクレームをつけると、「主婦の私が使わないと言うものが、使われることは絶対ない」と、詭弁とも強弁ともつかない理屈で反論してくる。
神風満帆だった、嫁のメルカリ出品歴だが、そうこうしているうちに、素人出品者が必ずぶち当たる、大きな壁に直面する。
売るべき品物が、なくなってしまうのだ。
自分の洋服も、我が家の食器も、主だったものが売れてしまうと、後が続かない。
ビジネスに携わった人なら分かるが、全てのビジネスは仕入れから始まる。
仕入れが途切れると、いくらファンが多かろうとメルカリ出品は続けられないのだ。
ハタと困った嫁が、そこで考え付いたアイディアは........?.
当方が趣味で集めてきた、ゴルフパターコレクションを出品することだ。
この時の理屈も、「ゴルフで使うパターって一本だけデショ、なら一本残せばいいんジャナイ」だって。
ジョーダンじゃない!
当方、名器と言われたパターを見つけると、矢も盾もたまらない気持ちになり、それこそ苦心惨憺の資金繰りの挙句に、やっと手に入れてきたものだ。
実戦で使うなんて、考えたこともない。
持っているだけで満足する、逸品ばかりなのだ。
しかし、その価値が分からない嫁にすれば、単なる商売道具にしか見えない。
しかも品物を見れば、素人でもソコソコの価格では売れそうだと分かる。
嫁が、獲物を狙うハンターのような目つきで、飾ってあるパターを値踏みする嫁を見ると、ゾクッと背筋に冷たいものが走る。
斯く言う当方も、10年以上ヤフオクに嵌った。
掘り出し物の絵画、玉の加工品、本、ゴルフクラブなど、欲しいモノを手あたり次第落札したし、不要になったものは出品もした。
ヤフオクの評価点は、800以上も「非常に良い」が並び、「悪い」は一つもない。
しかし今の世の中、オークションスタイルは時間がかかり過ぎる。
手っ取り早く、出品者が売値を決め、購入者がその価格に納得すれば一件落着のメルカリの方が、圧倒的に主力になったようだ。
確かにこんなシステムは、断捨離や、不要なモノのリサイクルには役立つ。
嫁が嵌るのもやむを得ないが、いつの間にか、自分の宝物が出品されることには、最大限の警戒を怠ってはいけない。
気がつかない内にコレクションパターがなくならないように、油断大敵の毎日が続く。