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武田邦彦教授の共産主義論

武田邦彦、77歳。

現在は、中部大学綜合工学研究所特任教授。

ほとんど誰も聞いたことのない、地方大学の「要職」にある(のだろう)。

しかし武田教授は、そんなアカデミーの世界よりも、軽妙洒脱な保守論客として、テレビに引っ張りだこの御仁だ。

 

一般的な評論家やコメンテータが、感情的で情緒的な発言に終始するのに比べ、科学者、武田教授は、自説を極めて科学的データに基づき、論理的に説明してくれる。

当然ながら、他の評論家どもからは絶対に聞くことができない、「目から鱗」のような、鋭い論理を展開する。

よって当方は、武田教授の科学講座を楽しみにしている。

 

そもそも最初は武田教授が発した、リサイクル運動への疑問からだった。

リサイクルは却ってカネがかかり、実際の省資源にはならないと言われて、「成程」と強く納得した。

科学的見地からは、地球温暖化も間違いで、実は地球は寒冷化していると説明され、それまでの常識との違いに驚きもした。

更に「北極の氷が溶けて海面上昇するので地球の危機」の通説には、「アルキメデスの原理は小学校で教える」と一刀両断する。

 

当方、そんな科学者、武田邦彦教授の発言を信頼している。

 

その武田教授が虎ノ門ニュースで「僕はどんな意見の違いも受け入れるが、共産主義だけは早急にこの世から消えて貰わなければならない」と発言した。

その理由として、中国で行われているウィグル人弾圧を例に挙げ、「中国では健康なウィグル人の臓器を召し上げ、病んだ漢民族に移植するのは正義だ、これが共産主義の実態だ」と、中国共産党を断罪した。

この発言については、前半分は全く同意だ。

しかし如何に信頼する武田教授とはいえ、後半については異議ありだ。

 

中国でウィグル人やチベットが弾圧され、実際にウィグル人を犯罪者に仕立て上げ、不法・不当な臓器摘出が行われていることは想像に難くない。

しかしそれは中国の中華思想由来であり、中原の覇者が中国の皇帝になる、中国独自の価値観から実行されるものだ。

決して、共産主義からの必然ではない。

そもそも武田教授は、中国が共産主義国家と勘違いしているが、中国だけでなく、世界中を探しても、マルクスが唱えた共産主義を信奉している国家などない。

共産主義は、その幼稚な正義感が世の中で通用せず、思想としては破綻しているからだ。

共産主義国家は数多く生まれたが、その全てが消滅するか、共産主義を捨てた。

 

だがしかし、「中国を実効支配しているのは、中国共産党ではないか」との疑問がある。

確かに形式上は、中国は中国共産党一党独裁国家だが、しかしこの中国共産党は共産主具を奉っている組織ではないのだ。

厳密に言えば、ロシア革命を成功させたレーニン一党独裁・個人崇拝の組織論に基づき、徹底的に民主主義を弾圧している政党が、中国共産党を名乗っているに過ぎない。

言ってみれば、広域暴力団が武力に物言わせて、国を運営しているようなもので、名前だけは中国共産党だが、それは共産主義とは全く違うものだ。

 

共産主義は、人間を骨の髄までお人好しで平等主義者と見做す、荒唐無稽な理想主義でしかなく、実社会では自由競争の資本主義に、思想として完璧に敗北した。

しかしそれでも、共産主義が掲げた理念は、ごく一部ではあるが、資本主義・自由競争社会の矛盾解決に役立っている。

例えばボクシングは、強い方が勝つのと単純明快な世界だ。

だからボクサーは、勝つために必死の努力を重ねる。

そんな血のにじむような努力を結果、勝利した選手は高い評価と莫大な報酬を得る。

スポーツの世界は、将に自由競争の権化だ。

しかし強いモノが勝つことを野放しにすると、敗者を生命の危機にまで追いやる。

その場合は。三回ダウンでTKOとかレフェリーストップとかのルールを定めて、選手の命を守ろうとする。

 

政治経済も同じことで、優勝劣敗の原則を徹底すると、敗者に立ち直りのチャンスがなくなる。

勝者への報酬の一部を、敗者・弱者救済に宛てるのは、社会保障や弱者救済を謡った共産主義の思想を拝借したものだ。

資本主義、自由競争の矛盾を主張した共産主義だが、実は資本主義・自由競争社会の矛盾を解決、改善することで、その制度の延命に寄与している。

誠に皮肉なことだが、共産主義思想の存在価値はこの一点にしかない。

即ち、共産主義は「百害あって一利なし」ではなく、「千害以上あって一利だけあり」の思想だ。

 

武田教授の「共産主義は速やかに消え去るべきだ」の主張は正しい。

しかし共産主義と言えども、少しは世の中の役に立っているのだ。

尤も、この点だけを強調し、肥大化させ、資本主義・自由競争社会を攻撃する、日本の野党など、存在する価値すらないのだが。