吉村は、感染拡大の前に次々と具体策を打ち出し、東京都知事の小池百合子が、言葉だけで具体策がない無様な対応との比較で、「将来の総理候補」とまで持ち上げられた。
吉村自身も調子に乗り「政府が無策だから大阪でやる」と口を滑らし、西村康稔大臣から「それは地方の仕事」と小言を頂戴したが、世間は圧倒的に吉村贔屓だった。
そんな吉村がコケタのは、大阪府の特別定額給付金の支給遅れと、武漢肺炎第二波を拡大を全く防げなかったことだ。
第二波では、大阪の感染者が全国平均よりグッと増えてしまったので、称賛と栄光に溢れていた第一波への対応が、実はマグレだったとバレてしまった。
そんな焦りからだろう、吉村が乾坤一擲の勝負手として打ち出したのが「武漢肺炎にイソジンが効く」との記者会見だった。
ネットでは会見直後から総ツッコミ状態になり「吉村、馬脚を表す」と散々な評価で、さすがの吉村も「武漢肺炎に効くとは言っていない」と路線変更を余儀なくされた。
ここまでは、吉村が確認不足でイソジンの効果を打ち出した軽薄さは責められるが、イソジンでうがいをするのは悪いことではないので、謝罪するような事態ではない。
問題は、その後のテリー・伊藤の発言の方だ。
テリー・伊藤はバラエティ番組で「この内容は記者会見前に知り、株を買おうと思ったが、インサイダー取引になるかもしれないと思い止めた」と喋ったのだ。
そして実際に、イソジン製造会社の塩野義製薬の株価は、インサイダー取引があったとしても不思議ではない動きをしていた。
慌てたテリー・伊藤は、翌日に自分の発言を撤回、吉村の方は「インサイダー取引はないし、そのような風説には法的対応をとる」と凄んだ。
しかし、これはおかしいだろう!
そもそも後に撤回したとしても、テリー・伊藤の発言は、
・事前に記者会見の内容を知っていた
・株を買おうと思った
・しかしインサイダー取引抵触を怖れてやめた
と、極めて具体的なのだ。
その後に「事前には知らなかった」と言い訳したらしいが、では、その後の株購入の件は、テリー伊藤の朦朧とした妄想の世界か、あるいは単に夢を見たとでも言う積りか。
吉村もおかしい。
「インサイダー取引は犯罪行為だから、絶対にやっていない」と力説するのは分かる。
しかし「テリー伊藤の話をTweetしたら法的対応」と力み返るのは発作的過ぎる。
そもそもネットで拡散された情報は、全てテリー・伊藤発言を元にしている。
情報源、発生源が、実に明々白々なのだ。
だから、吉村が訴えるのなら、相手はテリー・伊藤のはずだ。
テリー伊藤が、与太話を無責任に発言したことは事実なので、その責任を問うべきだ。
テリー伊藤がやったことは、例え後に撤回したとしても許されるものではないし、あるいは撤回したからこそ、デマを作り出した責任追及を曖昧にしてはいけない。
「デマ」に踊って、騒ぎを拡大させた連中を脅し上げるのは、順番が違うし、本末転倒なのだヨ、吉村君!