昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

我ながらエエことを言っていた

仕事を辞める時、自分がやってきた仕事について、後輩たちに遺言レポートを書いた。

その中の一節に、クレームへの対処方法がある。

 

順風満帆な仕事などなく、必ずトラブルが発生する。

ライバル企業の攻勢を浴びたり、顧客から無茶な価格対応を迫られたり、とにかく仕事で平穏無事な期間は数えるほどしかなかった。

 

しかし数多あるトラブルの中で、クレームへの対応については、他のビジネストラブルとはいささか趣が異なる。

遺言レポートには、そのことを少々詳しく書いた。

その内容は

 ・通常のビジネストラブルは、折衝での解決を目指す

 ・しかし、クレームの場合の折衝は後回し

 ・クレームの責任追及は、トラブルを解決した後

 ・とにかく何にも優先して、眼前のトラブルを解決すること

そして最後に、クレーム処理に関しては「最善の結果を期待するのではなく、最悪の結果を想定し、事前にその対策を考えておくこと」と書いた。

 

これは全くのオリジナル表現で、我ながら「言い得て妙なり」と悦に入っていた。

しかし最近になって、かなり似通ったことを喋った偉人の先達がいることを知った。

それはイギリスのベンジャミン・ディスレイリ首相だ。

彼の発言は

 ・I am prepared for the worst, but hope for the best. 

  私は最悪の事態に備え、最善の結果を期待する

らしい。

ネットで得た情報だが、この英語は何となく文法的におかしい気がする。

もっと短くして 

 ・Prepare for the worst, and hope for the best.

の方がピンとくる。

 

しかしいずれの英語も、当方の遺言レポートと似てはいるが、若干ニュアンスが違う。

当方は、我田引水で最善の結果を期待してはいけない、と説いた積りだ。

 

クレームを解決するには、多大なエネルギーを要する。

過去に同様の事例を経験していれば、クレーム対処法は比較的簡単に見つかる。

だが、初めて遭遇するトラブルは、まるで手探りで原因を究明し、解決法を見つけなければならない。

そんな時には、ついつい根拠もないのに、楽観的な見通しに縋りたくなるものだ。

しかしそんな苦し紛れの発想で、ことが解決できることはない。

 

それならば、最悪の場合、期限までに解決できないケースを想定し、事前にその最悪ケースの対処策を考えておかないといけない。

そうすれば、実際にそんな事態になっても、準備した方策で何とか乗り切ることができるし、真の解決までの時間を稼ぐことができる。

 

だからクレーム対応の肝は、発生する可能性がある最悪ケースをどこまで正確に、リアルに想像できるか、その想像力にある。

単なる小市民に過ぎない当方だが、真面目に仕事に取り組んだ結果のこんな考えが、何とイギリス首相の発言に似ているとは。

実は凄い出来事ではないかと、密かに自画自賛している。