昨日の記事の続編。
百田尚樹ファンの一人が上念司非難のTwitterで、有料会員向けの講習会ビデオをアップロードした事件だが、投稿者は弁護士も含めて、いろいろな人に相談している模様だ。
この投稿へは、大量のコメントのほぼ全てが激励、賛同ばかり。
「正義は勝つ」とか「犯罪者を許すな」とか、いつの間にか上念は犯罪者予備軍扱いされている。
また上念とこの講習会を主催した団体には、抗議のTweetも多数寄せられているようで、この投稿者が悉くそれをリツイートしている。
先ずは問題点の整理から。
この投稿者が訴えられるのは、有料講演会の内容を無断でアップロードして著作権侵害をしたことと、その損害賠償だ。
通常ならこの点は、間違いなく罪に問われるのではないだろうか。
実は上念が告訴を発表したTwitterには、この投稿者のTweetが動画付きのまま張り付けられている。
もしも上念が、自分の発言を後悔、反省しているのなら、早々に動画は削除するはずだ。
それが、そのままの状態で紹介されているのは、裁判への上念側の自信ともとれるし、動画の閲覧回数を増やすことで、より多くの損害賠償金額をせしめる積りではと穿った見方をしてしまう。
そもそも投稿者の動画入手方法が不明だが、彼の賛同者が動画を見たのは、投稿者の違法行為の結果なのだ。
上念の発言は、本来なら限られた顧客だけを相手にしたモノだし、且つ録画に著作権も存在している。
投稿者が会費を支払ってこの講演会に参加していたとしても、その内容を録画することや、ましてやそれをネットにアップロードする行為は禁止されている。
況や不正に入手した録画のアップロードなど、もはや言語道断だ。
唯一の希望は、投稿者は「上念が犯行を予告していることを世間に知らしめたかった」との言い訳だ。
この場合、犯罪を未然に防ぐための違法行為だから、緊急事態への対応として許されるとの主張になる。
では次の問題点は、この上念発言は犯行予告に当たるのかどうかだ。
投稿者やその賛同者は、異口同音に「上念発言で恐怖感を持った」と書いている。
しかし上念は「あの発言は顧客サービスでわざと過激に表現したもので、その場の聴衆は恐怖感など持たなかった」とでも言うだろう。
むしろ不法なアップロードの結果、上念のイメージと名誉が損なわれたと言うかもしれない。
実際には、あの講習会の上念発言で上念に殺されるかもしれないと、我が身の危険を感じたとは、どう考えても被害意識が強すぎる。
以上から全く個人的感想だが、裁判で投稿者が勝つ可能性は低い。
金額がどれほどになるのかは分からないが、それなりの損害賠償命令となるだろう。
また裁判で揉めた時、上念と彼が所属する組織を相手に、投稿者個人が長期裁判に耐えるのもハードルが高い。
そんな観点から、僕が投稿者の知人なら、ここはサッサと示談に持ち込むことをアドバイスする。
こんなことを言うと、上念とのバトルをヤル気満々の投稿者や、その熱烈な支持者からはバッシングされるだろう。
実際に上念と戦うか引くかは、多くの事例を経験している弁護士判断だろうが、前途多難なのは間違いない。
その場合、弁護士に顧客からのクレームを相談した先輩として、この投稿者にアドバイスしたいことがある。
投稿者にとって大事なのは、弁護士に対して自分に不利な情報こそ開示することだ。
具体的に言えば、投稿者への激励や上念非難のコメントを紹介し、賛同者が多いことをアピールすることではない。
むしろ投稿者への批判的意見こそ、率先して弁護士に伝えるべきだ。
何故なら、裁判になった時の上念側の主張は、投稿者への批判コメントと同類のものだからだ。
僕自身の経験でも、弁護士に対しては、如何に自分たちの主張が正当で、相手の意見は荒唐無稽であるかを伝えたくなる。
しかし、どんなに自分たちが有利と思っていても、それは主観に過ぎないのだから、弁護士には誤った先入観を与えてしまう。
むしろ、耳障りな敵の主張を正確に伝えることで、適切な善後策を講じる方が実践的なのだ。
またその方が、仮に敗訴しても被害が小さくなる。
裁判に臨む場合、一番まずいのはかってな思い込みだ。
こちら側は相手が悪いに違いないと信じているが、同じことを相手も考えているから、この部分は平行線になることが多い。
だから、必死に自分の正当性を訴える反面、最悪の事態を想定し、その事態への対応策を考えておくことが重要になるのだ。
投稿者がこのブログを読んでくれる可能性は、限りなくゼロだ。
彼が万々が一、このブログに辿り着いても、アタマに血が上っている時に、反対意見を虚心坦懐に読んでくれる可能性もまた低い。
全くの老婆心に終わりそうだが、望むらくは彼が少しでも参考にでもしてくれればありがたい。