一部の日本保守派には、絶対に認めたくないことが現実になった。
1月20日に、バイデンがアメリカ大統領に正式に就任したのだ。
「バイデンに就任されてしまった」のが、彼らの心中を正確に表現しているかもしれない。
昨年11月4日アメリカ大統領選以降のニケ月半、アメリカでも日本でも、その結果を巡って大騒ぎを続けてきた。
その結末が、最終的についた。
日本の一部保守派たちは、
・今回の大統領選の大規模な不正があった
・数多くの証拠がある
・本当の勝者はトランプ
と主張し続けた。
明白な証拠が大量にあるのに、不正選挙などなかったかのようにバイデン勝利を認めるのは、民主主義の否定になるとの意見だ。
トランプ派で「これは民主主義の危機」と力説する連中も多かった。
それに対して、バイデン勝利を認める反対派は
・大規模不正選挙は、アメリカ司法で否定され実証されていない
・不正選挙はあったが、それは些細なレベル
と反論するが、その途端に
・どんな些細な不正でも、認めることは民主主義の否定だ
・些細な不正ならイイと言う積りか
と、論点ズラシをして批判する。
要は、
・あれだけ国民的人気の高いトランプが負けるはずはない
・日本寄りの政策を実施してくれたトランプに勝って欲しい
との思いが募り、トランプの負けを認めたくない一心なのだ。
有力保守派論客が、そんなトランプ支持者の思いを後押しする。
その代表格が百田尚樹、有本香、藤井厳喜以下の虎ノ門ニュース主流派たちだ。
また元新聞記者、加藤清隆や元日本共産党員、篠原常一郎、YouTuberたちが、バイデン側の陰謀論をまき散らす。
すると端から不正選挙と信じ込んでいるトランプ支持者は、この情報に飛びつき、我が意を得たりと大喜びする。
ネット空間では、いつの間にか大統領選では大掛かりな不正が行われた結果、バイデンが勝利したことが既成事実になってしまった。
ここで冷静な意見でも発しようものなら「裏切者」扱いされ、大バッシングの洗礼を浴びることになった。
ところがトランプは、逆転勝利を期した裁判で、連戦連敗する。
アメリカ司法の判断は、
・不正選挙の証拠がない
・提出された証拠は、訴訟審議に値せず
の二点で、告訴を退けるか、門前払いだ。
ここから百田たちは一斉に、陰謀論に傾く。
・裁判官が中国に買収されている
・パウエル、リンウッド、ジュリアーニ弁護士が不正選挙を暴く
・ドミニオン集計システムはインチキ不正選挙の温床
・米軍がドイツで不正集計サーバーを押収
・CIA長官逮捕、グアンタナモ基地で尋問中
・1月6日ペンス副大統領が選挙人名簿受け取りを拒否
と、どこまでもトランプ勝利を信じてやまない。
そしてその極めつけが、1月6日を期して「トランプが大統領令、即ち戒厳令を発する」とのガセネタだ。
百田はこの戒厳令を本気で信じていたようで、12日未明にも「大統領令が出た」と誤情報を発信している。
しかし、実際にこの日発生した事件は、トランプ支持者の議事堂乱入事件だったが、それに対して彼らは
・トランプは平和デモを呼び掛けただけ
・実際の乱入犯人はANTIFAかBLM
・トランプはすぐに暴力反対を発表した
とトランプを擁護し続ける。
実際は、暴力否定表明は翌日になってからだった。
また百田は、20日までにもう一度トランプの反撃があるとも信じていたようで、19日虎ノ門ニュースで「未だトランプの逆転を信じたい」とも話していた。
しかし、現実は現実だ。
百田たちがトランプが勝ったと信じてやまなかった選挙結果は、バイデン勝利を正式、且つ最終的に認定した。
不正選挙は、マイナーなものはあったが、選挙結果を左右するような大規模違反はなかったとの結論だ。
不正の温床と名指しされたドミニオン社は、そのようなSNS投稿を名誉棄損で訴えると逆襲に転じた。
途端に、それまで声高にドミニオンの不正選挙を主張していた投稿が、次々と削除されている。
トランプが勝ったはずと思ったのは、単なる幻想だった。
トランプは、通常の大統領選の投票数で、バイデンに負けたのだ。
百田たちがいくらトランプが勝ったと言い張っても、選挙の当事国、アメリカでは全く影響はない。
しかしアメリカにとって一番の同盟国、日本の国論を混乱させ、あらぬ誤解を広めてしまったのは間違いない。
百田は記者会見で「トランプが負けたら小説家を辞める」と言った。
トランプが負けたのが現実となった今、百田がその発表を実行するのか興味がないわけではない。
しかし百田は過去にも、小説家廃業は度々口にしている。
そもそも小説家とは、事実を忠実に書くものではなく、如何に題材を面白おかしく表現するかが問われる仕事だ。
だから、この間嘘をつき続けた百田だが、小説家を辞める必要はない。
但し百田が、事実でもない情報を垂れ流し続けたことは間違いない。
だから百田が辞めるべきは、Twitterの方だ。
同様に、有本香、加藤清隆、藤井厳喜、篠原常一郎、門田隆祥、その他百田に追随したYouTuberたちは、今後もSNSを利用するのなら、少なくとも自己批判は必要だ。