巷では、ほぼ全員がマスクを着用する時代になった。
これは、昔からマスクアレルギーがなかった、日本だけの現象ではない。
アメリカではバイデン新政権が、国民全員にマスク着用を義務化する法案まで作った。
マスクが嫌いだったトランプへの、嫌がらせに見える。
2009年5月、アメリカ観光でニューヨークに出かけた。
ちょうどアメリカで、豚インフルエンザが大流行したので、会社からはアメリカ出張の自粛命令が出ていた時だ。
ただキャンセル料が発生するケースもあり「遊びだから会社とは関係ない」と強引に言い聞かせて強行した。
勿論、旅先で罹患したら、帰国した時に会社に言い訳ができない。
そこで、国内で風邪薬だけでなく、マスクもしっかり調達して、準備万端で出かけた。
そしてニューヨーク到着の翌日、サア観光開始と街中に出かけると、マスク着用者がどこにもいない。
一日中歩き回って、出会ったマスク着用者は10人に満たない。
それも全て日本人観光者、若しくは明らかに日本人と見える人だ。
日本では、予防のためのマスクは必需品だが、そのマスク不足が騒がれていた時期だ。
だからアメリカ観光中でも、日本人は律義にマスクを着用する。
しかし、豚インフルエンザの本家本元、アメリカではマスク着用者がほとんどいないのだ。
マスク不足で、行き渡っていないのかとも思ってアメリカ人に質問したら、全くカルチャーショックの答えが返ってきた。
・アメリカでは、重病人以外はマスクをしない
・だからマスク着用者は傍迷惑な存在とみられる
・マスクをするくらいなら自宅にとどまるべきだ
・治安の悪いアメリカでマスク着用するのは犯罪者
だから当時のニューヨーク市内をマスク姿でうろつくと、変わり者扱いされた経験がある。
そのアメリカでも、過半数の国民がマスクを着用するようになった。
アメリカン・フットボールNFLが開幕した時、二人のヘッドコーチがマスク着用しなかった理由で、莫大なペナルティを取られた。
スポーツ選手も、プレイ中は外しているが、休憩時間になると常にマスクをつける。
時代は変わったものだ。
ところがこのマスクは、武漢肺炎対策の効果がないとの意見もある。
武田邦彦教授によると、ウィルスの大きさとマスクの目の粗さを比べれば、到底マスクでウィルス侵入を 防ぐことはできないらしい。
また、マスクにウィルスが付着するので、却って逆効果とも言う。
しかし、世の中はマスクだらけだ。
今や、マスクをしなければ、スーパーで買い物もできない。
食堂でも、さすがに食べる時だけは外すが、注文の品物が到着するまでは着用しているし、食後はすぐにマスクする。
これはいったい何なのか?
恐らくは、マスク着用が武漢肺炎罹患を防ぐと言うより、むしろ社会生活上のエチケットとなっているのではないだろうか。
マスクをすれば、武漢肺炎にかからないと思っているのではない。
それより、武漢肺炎防疫に関心があると表現し合うことで、お互いに安心感を共有できるような、周囲への思いやり、配慮の気持ちだ。
それが、マスク着用が当たり前の風潮として定着した理由だと思う。
であれば、その昔ホリエモンとその一味が、餃子店で起こしたトラブルや、飛行機の搭乗を拒否された大学講師の振舞いが、常識から外れていることが分かる。
ホリエモン一行も大学講師も、妙に偏差値が高いから、科学的なマスク効果を云々する。
そこから論理立てて、マスク着用は無意味と主張しているのだが、これはそんなややこしい理屈を聞く場ではない。
公共の場でのマスク着用は、周囲の人への配慮を求めているものだ。
それを「イヤだ」と拒否するのは、個人の能書きとしては分からないでもないが、社会人としては問題行動なのだ。
あれほどマスクを嫌っていたトランプも、選挙戦の後半では常に持ち歩き、何かあればすぐに着用するようにしていた。
実は僕も、すぐに息苦しくなるので、マスクは大嫌いだ。
それでも人と接触する場では、嫌々ながらも必ずマスクをつける。
また、マスクをしていない人とは、距離を置くことにしている。