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贔屓の引き倒し

アメリカでは、それまでの大騒ぎがウソのように、スンナリとバイデン政権が船出した。

 

トランプ信者たちの予想では。1月20日までに大事件が発生し、トランプが再選されるはずだった。

そんな妄想が極大化したのが、虎ノ門ニュースで大高美貴が唱えた「1月6日に今まで誰も見たことがないことが発生する」との予言だった。

結果は、トランプ支持集会参加者が、国会議事堂を一時占拠した議事堂アタック事件だ。

しかし結果として、これがトランプに止めを刺すことになった。

その後は、百田尚樹や加藤清隆が期待していた大統領令戒厳令など起きるはずもなく、バイデンが正式に大統領に就任してしまった。

 

本来ならここでノーサイドなのだが、トランプは敗戦宣言をしないままホワイトハウスを離れ、民主党はその後もトランプ攻撃を続けた。

それが、トランプ政権末期に下院で決議したトランプ弾劾法案を、バイデン政権の上院で裁判を継続したことだ。

これは共和党からの造反者が少なく、バイデンも政策実行を優先したので、見込み通り否決された。

しかし共和党内はトランプ支持、不支持勢力が混在し、二年後の中間選挙での苦戦が予想されている。

 

百田は、バイデン政権になれば一気にアメリカの対中国が軟化し、バイデン政権の誕生はこの世の終わりの始まりとまで危機感を煽っていた。

しかし今までのところバイデン政権も、中国の人権問題には極めて厳しい姿勢を続けている。

アメリカの対中国強硬姿勢は、トランプやバイデンの個人プレイよりも、下院・上院議会の決議だからだ。

 

そんな弾劾裁判は、予定通りにトランプ無罪評決となったが、その過程で興味深いことが分かった。

この裁判に臨むにあたって、トランプ側弁護士五人が辞任している。

現職でもない大統領弾劾は憲法違反と主張する弁護団の方針に、トランプは大統領選は不正選挙だったと主張を曲げなかったからだ。

しかし実際の裁判の弁護方針では、トランプの意見は却下されたようだ。

弁護団は、現職でもないトランプを弾劾にかけることは憲法違反と主張し、結果として裁判でそれが認められた。

この裁判を見ていて驚いたのは、弁護団の一人が、裁判そのものが憲法違反とした上で「トランプは既に選挙で国民に弾劾された」と発言したことだ。

この弾劾裁判を通じて、トランプ個人の思いは別として、少なくともトランプ陣営は大統領選の敗北を認めたことになる。

 

それでも尚、アメリカではなく日本人の中に、未だにまもなく不正選挙が暴かれ、トランプの逆転再選を信じている連中がいる。

アメリ最高裁で、いよいよ不正選挙が審議」とか、「トランプが17件の勝訴した」とかの情報に大喜びしているのだ。

百田、加藤、有本香などの元熱烈トランプ支持者たちですら、もはや大統領選などなかったかのように沈黙している。

ところがこんな善良な人たちは、未だにTwitterに、トランプ支持の投稿がスラズラと書き並べている。

 

これこそトランプの人気の高さの証明ではあるが、こんな意見を日本でいくらツイートしていても、何一つ実効性はない。

手続き最優先の国アメリカで、バイデン政権が正式にスタートした以上、トランプ再選など起こり得ない。

そんな期待感はむしろ、共和党の内部分裂を深刻化させ、二年後の中間選挙民主党を優位にするだけでしかない。

これこそ、贔屓の引き倒しなのだ。

 

僕は、トランプ政権の四年間は、日本にとって素晴らしい期間だったと思っている。

トランプと、当時の安倍晋三首相の信頼関係がなければ、日本の国際的地位は今ほど高くはなかっただろう。

北朝鮮に日本人拉致問題を解決するように迫ったのも、拉致被害者に思いを寄せたのも、トランプが嚆矢だ。

過去にないほど、日米同盟の重要さを理解し、日本と共に中国と対峙する戦略を実行したのもトランプが一番だ。

 

しかしトランプは、所詮はアメリカ大統領だ。

トランプが最優先するのはアメリカの利益であり、アメリカの利益にかなっているから親日姿勢を取り続けた。

その証拠に日米経済交渉では、全ての項目でアメリカ優位のディールに拘り、安易な妥協はゼロだった。

それが日本にとって比較的ウィンウィンで済んだのは。当時の安倍外交の成果なのだ。

ビジネスマン大統領のトランプが、安倍首相を好きだから、交渉に手心を加えるなんてことは絶対にありえない。

 

それはバイデン政権でも同じで、バイデン外交が日本にプラスかマイナスかは、日本の外交力そのものなのだ。

いくらトランプ時代を懐かしんでも、最短でも4年間は、あの時代は帰ってこない。

今はバイデン政権を相手に、日本の国益を守るしかない。