韓国のソウル市長選、釜山市長選のダブル選挙は、両市とも野党保守派が圧勝した。
この件で久しぶりに、フジ「プライムニュース」の韓国選挙特集を見たが、その内容はほとんど予想されたものだった
・文在寅は、任期残り一年を南北関係改善に費やすだろう
・中国とアメリカ間でのバランサー外交が難しくなる
・東京や北京でのオリンピック外交路線も破綻
またフジテレビソウル特派員は、レームダック化した韓国大統領は与党内の支持を失い党から追放される可能性が高く、今後文在寅がやれることはないとの見方を伝えた。
いつもは文在寅支持発言を繰り返す、李泳采・恵泉女学園大学教授は
・今回の選挙は文在寅への信任投票だった
・しかし今回の選挙で文在寅への審判が下った
・支持者は文在寅に裏切られた思いで、多くが選挙を棄権した
・一方野党派の多くが投票し、投票率が上がった
・与党にとって今回の結果はむしろ良かった
・一年間の余裕があるので次の大統領選までに体勢を立て直すことが可能
・韓国で左派勢力が退潮したことではない
と、今回の選挙結果は、文在寅路線への一時的なお仕置きとの認識を示した。
今回の選挙と最近の韓国情勢から見て、文在寅が死に体になったことは間違いない。
文在寅が進めた親中国路線、南北融和、反日政策の全てが、袋小路に嵌った。
韓国内の経済悪化も、目を覆うばかりだ。
そこに国内政策の失敗で、不動産価格が暴騰し、土地取引での不正もバレた。
勝手に法律を変えて、与党有利な政治状況を作り出そうとした強引な政権運営も、与党内のスキャンダルで失敗した。
大統領職を退いた後の文在寅は、確実に訴追され監獄送りになるだろう。
しかしそれは、一昔前の韓国保守派の復権につながるものではない。
朴正熙時代には壊滅的だった韓国左派は、この間の民主化闘争や北朝鮮や中国の内部工作を経て、今や韓国では保守を凌ぐ勢力になっている。
だからこそ、四年前の大統領選挙で、文在寅が圧勝した。
韓国での反日・嫌米・親北・媚中は、今では韓国では主流意見と思った方が良い。
これは、アメリカが主導する
・今後は、民主主義国家対専制主義国家の争い
・共通の価値観を持つ民主主義国家が連帯して、中国と相対する
戦略に、韓国は与しないことを意味する。
多くの日本人は、民主主義国としての自由を経験した韓国民が、金正恩独裁国家の北朝鮮と一緒になることを望むはずはないと考える。
しかし松川るいによると韓国では、アメリカに追随するのではなく、中国とアメリカのバランス外交の方が正義らしい。
韓国には民主主義が定着しているのではないので、アメリカがいくら「民主主義を守れ」と声を枯らしても、韓国民には伝わらない。
文在寅だけが、南北融和に前のめりだったのではない。
韓国民の過半数が、朝鮮民族の統一を望み、その時の政権の正統性は北朝鮮の金王朝と認めているのだ。
こんな韓国に対して、日本はどう対処すればよいのか。
次の大統領選では、一貫して文在寅と対立してきた尹錫悦前検事総長が、保守層の期待を一身に集めて、野党・保守派の有力候補に急浮上したらしい。
尹錫悦は、反日ゴリゴリだった文在寅よりもマシかもしれないが、所詮は韓国人だ。
加えて、検事総長としての実績はあるが、政治家としての実力は未知数だ。
尹錫悦が大統領になれば、日韓関係が飛躍的に改善されるとは考えられないし、日本にとっては本音のところ、その必要もない。
幸いにして、アメリカにとっても日本にとっても、焦眉の急は膨張する中国対策だ。
その中国の一番の狙いは海洋進出なので、太平洋での沖縄、尖閣列島、台湾とフィリピンにつながる防衛線が最重要になる。
地政学上の韓国の重要性は、過去にないほど低い。
韓国がレッドチーム入りしても、それはそれで仕方がないと諦めることができる。
むしろ苛斂誅求な中国や、冷酷無比な北朝鮮を宗主国に仰がなければならなくなる、韓国民こそ哀れだと、上から目線で同情しておけば良い。
尤も朝鮮は二千年に亘って中国の属国だったので、単に先祖返りしただけとも考えられる。
そんな訳で日本は、韓国がレッドチーム入りをすることを前提に、国際外交戦略を組み立てるしかない。