昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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民主主義の賛否は三分の一ずつ

人間は一人では生きていけないので、キリスト教でもアダムのためにイブが作られたことになっている。

しかし二人きりでは、どうしようもない。

更に一人、また一人と増えていき、社会となり、国家となる。

 

こうして集団生活を送るようになると、各々が勝手な主張をすれば、トラブルばかりになる。

そこで今度は、社会や組織運営のためのルールが必要になる。

社会がある程度の規模までは、飛び抜けた存在の一人の元に纏まっていれば秩序が守られる。

しかしそんな指導者が複数登場し、また構成員も多様な意見を持ち始めると、集団の行動方針をどれかに決める必要が出てくる。

世界の歴史は、そんな指導者たちが主導権争いを繰り返し、様々な栄枯盛衰の上で現代に至った。

全ての歴史は「勝てば官軍」で、勝った方の統治システムとルールが適用されてきた。

 

民主主義は、そんな集団意思決定システムの一つで、しかも一番新しい考え方だ。

そしてその民主主義ルールは、世界で最も多く採用されている。

日本でも、自由民主党立憲民主党、国民民主党など多くが、党名に民主を掲げ、民主主義政党と自称している。

アメリカは最も徹底した民主主義国家で、世界中に出向いてまで民主主義と敵対する勢力と武力衝突を辞さない。

「自由と民主主義を守る」ためなら、アメリカ国民の命を懸けることも辞さない。

民主主義を信奉しない勢力には、全くのお節介国家だ。

アメリカはそれほど民主主義を重要視しているし、アメリカほどではないにせよ、それは他の多くの民主主義国家も同じだ。

 

勿論、民主主義には問題点も多い。

その最たるものが、多数派の意見を採用するシステムなので、少数意見が埋没してしまうことだ。

また賛否が分かれると、結論に至るまでに時間がかかり、解決のタイミングを逸することになる。

だから民主主義以上のシステムが存在するなら、誰もがすぐに採用するはずだが、今のところそんな兆候はない。

皮肉を込めて自虐的に「民主主義を超えるシステムがないので、やむを得ず民主主義を採用している」とも言われるが、それは中らずと雖も遠からずだ。

 

民主主義の下では、少数意見を披瀝する場も保証されている。

もともと人間の価値観は多様だから、全会一致の合意などはない方が普通だ。

あらゆる件で、確たる賛成派が三分の一、同様の反対派が三分の一、付和雷同派が三分の一と思って良い。

だから自分たちの意見を通すためには、どっちつかずの付和雷同派を味方につけることが必要になる。

第三極とか、支持政党なしとか、アンケートに、賛成、反対と違って「どっちとも言えない」と答える連中がそれだ。

賛否が鮮明な部分は、ある程度まで票読みが可能だ。

だが、この付和雷同派は風向き次第でどちらにも流れるので、こんな連中の影響力を高まると、政局も不安定になるし、重要な決断も遅れてしまう。

 

余談だが、僕はアンケートに「どっちとも言えない」と答えるのなら、最初から参加するなと言いたいが、そんな主張を発信することも民主主義の権利なのがもどかしい。

 

日本の民主主義は、二大政党制の諸外国に比べると、全く違った民主主義だ。

そもそも「三分の一民主主義」理論で見れば、与野党各々が三分の一ずつで、第三極が残りのはずだ。

ところが日本では、自民党単独の支持者が三分の一以上もいる。

反面野党は全部集めても10%に満たず、実際の最大勢力は40%以上にも及ぶ、支持政党なしの連中だ。

日本型民主主義では、自民党への信任不信任を、支持政党なしの連中が判断する。

その結果は、自民党チョンボが目立てば議席数が張るが、それでも野党に政権を任せることにならない状態が続いている。

 

例外が「自民党へのお仕置き」で、2009年に誕生した民主党政権だ。

しかし政権担当能力などあるはずもなく、鳩山由紀夫菅直人野田佳彦の三代で、日本経済や国家基盤を壊滅的危機に追い込んだ。

日本憲政史上、最低・最悪宰相の呼び声が高い菅直人が、民主党政権時代に「民主主義とは期間限定の独裁体制」と本音を吐露して物議を醸した。

菅直人は、選挙結果で政権の座についた民主党は、その考えが多数派から信任されたのだから、独善的に押し通して構わないと考えていた。

しかし、奢れるもの久しからず。

わずか三年で下野を余儀なくされた民主党は、その独善的政権運営と無方針無定見無策ぶりから、二度の政権に就けないほど落ちぶれてしまった。

この民主党失政の是正に10年もの時間がかかるのが、民主主義の弱点の現れだ。

 

長期政権の与党が腐敗しているとの批判もあるが、元を質せば、これを批判できない野党のだらしなさの所為だ。

より良い民主主義体制のためには、与野党の切磋琢磨が必要だ。

だが、最大野党の立憲民主党以下、与党に対案すら出せない野党集団では、民主主義の成熟などありえない。

民主主義を危機に追い込んでいるのは、、実は与党ではない。

目立ちたい一心で、国会で役にも立たない質問を繰り返し、政府にイチャモンをつけるだけの単なる穀潰し集団、野党の実力不足が一番の問題点だ。