世の中全般が自粛ムードの中で、昨年末から家に閉じこもることが増えた。
その結果すっかり贅肉がつき、昨年楽勝で着用できたズボンがきつい。
「これはイカン」と、4月から熱心にウォーキングをすることにした。
当初は一日5千歩から始め、中旬には8千歩、最後の10日間は1万歩に伸ばした。
各々のルートを設定するが、何と誤差がプラスマイナス50歩ほどに収まる。
飽きがこないために、毎日違ったルートを歩く人もいる。
しかしどれほど正確なペースで歩いているかを知るためには、同じルートを同じように歩くことも楽しいモノだ。
1万歩ウォーキングの場合、最初の20分で給水し、5分間休憩する。
次は15分後に給水し、スーパーマーケットのトイレを拝借。
更に20分後の公園で最後の給水。
合計1時間半で帰宅となる。
判で押したように同じ行動なので、一回で歩いた結果がジャスト1万歩を目指している。
もし達成すれば、妙な充実感があるだろう。
ウォーキングの間中、前日録音しておいたNHKラジオ講座を聞く。
急に業務上必要になり、55歳で始めた英会話だ。
それまでは挨拶の「How are you?」くらいは知っていたが、答えは「Fine, thank you.」だけ。
風邪をひいていても熱があっても、「Fine, thank you.」と答えるのだから話にならない。
英会話が上達するには、英語環境に身を置き場数を踏むコトが大事だ。
だが、NOVAなどの英会話教室に通うと、かなりカネがかかる。
いい歳をした爺さんの、余りの英会話能力の低さが、見知らぬ外国人講師にバレるのもカッコ悪い。
若い頃ならともかく、還暦が近い身分なので、そこまで資金を投入しても見返りが期待できない。
苦肉の策で、NHKラジオ講座を利用することを思い立った。
何より初期投資が、録音機能付きラジオを買うだけで良い。
現役時代は、朝の通勤が英語の勉強時間だった。
通勤電車の中の合計小一時間を、英会話の勉強に当てた。
リタイア後は、ウォーキングの間に、7講座1時間10分を聞く。
健康と勉強の、一石二鳥作戦だ。
こんな安直な方法で、実際に効果が出るモノだろうか?
実際には、スクールで外国人から直接教えてもらうのに比べれば、上達は遅いかもしれない。
しかしこんなケチケチ作戦でも段々英語に慣れてきて、会社員末期には「通訳さえいれば、通訳なしで交渉できる」レベルにはなった。
往時の、英会話が全く出来ない頃を知っている同僚や後輩には、たいそうな驚きだったようだ。
「あの人でもあそこまで出来たのだから」と、英会話落ちこぼれ族にとって、希望の星とも言われた。
個人的には、プライベート海外旅行の時に役立った。
ガイドも添乗員がいない旅行では、トラブルは自分で解決するしかない。
その時に、あんな程度の英会話能力でも、覚えたてのフレーズであれこれ言い回しを変えれば、何とか意思が伝わる。
少なくとも夫婦二人切りで、外国を旅行できるレベルには到達した。
ウォーキングと英会話。
武漢肺炎禍の中でも、誰に遠慮することなく一挙両得が目指せるので、すっかりご機嫌な毎日だった。
ところが好事魔多し。
一か月経過した昨日、何と左膝裏が痛くなってきた。
ウォーキングを始めて7年目だが、今迄そんなことは一度も経験していない。
5年前は、二か月間のウォーキングコンペに参加して、180万歩も歩いて断トツの一位だったこともある。
一日に3万歩でもガタが来なかったのに、たかが1万歩で膝痛とは。
これも体力低下の表れだろうか?
しかしこじらせるとマズい。
仕方ないので、しばし治療に専念することにした。
やはり、無理はいけない。
体力と相談しながら、ノソノソと生きていかなければならない年代なのだ。
これが老化なのだろう!