朝日新聞が音を上げたようで、値を上げると発表した。
7月分から朝夕刊セットで毎月4400円になる。
因みに当方の愛読紙産経新聞は、朝刊だけだが3034円。
元々夕刊なんて不要と思っていたし、現に産経の朝刊だけで情報量は充分だ。
そんな観点から見ると、値上げ後の朝日新聞は割高に感じる。
この話は早速ネット界隈を騒がせ、二年前の消費税率アップの時の朝日新聞の全面広告がやり玉に挙がった。
新聞は軽減税率が適用され、値上げをする根拠などないにも拘らず「朝日新聞は値上げをしないで頑張ります」と、ドヤ顔を決めた広告だ。
こんな馬鹿げた自慢は、それ自体が嘲笑の対象でしかないが、後々値上げしないとやっていけなくなった時には、今度は揶揄の対象となる。
昔から記事の捏造体質があったことを自己批判した朝日新聞だが、この幼稚な行動は、今に至っても真面な人材がいないことの表れだ。
いずれにしても、商品を値上げすることは、企業にとっては乾坤一擲の勝負手だ。
僕は会社員時代、長らく営業の仕事に携わった。
その業務で一番苦労したのが、価格改定作業だった。
値上げも値下げも両方とも大変だが、基本的に顧客にとって値下げはウェルカムだが、値上げはノーサンキュー。
どうしてもハードネゴになる。
ただ僕は生産財の営業担当だったので、消費財とはずいぶんと勝手が違った。
生産財の場合、相手は常連客であり、取引は繰り返し注文を前提にしている。
そのために供給側も、取引先は長期的に信頼し合える客を選ぶ。
老若男女を問わず、自社製品を買ってくれるならば顧客を選ばない消費財とは営業のやり方が違う。
生産財の顧客は、予めその場所も相手もはっきりしているが、消費財顧客は基本的に通りすがりだし一回勝負だ。
それが端的に表れるのが、製品値上げのやり方だ。
消費財は、一片の値上げ通告で終わりだ。
食堂の値上げは張り紙一つだし、それは今回の朝日新聞も同じだ。
電化製品や車は、基本的に販売中での価格改定はないが、モデルチェンジと称して新製品売り出しと同時に、こっそりと新価格を適用する。
消費財値上げは問答無用であり、嫌なら買わなければ良い話だ。
一方の生産財の場合は、顧客が納得してくれなければ値上げが達成できない。
だから先ず、徹底的に値上げの理由、必然性を訴えることから始まる。
相手が了承してくれるまで、延々と顧客との交渉を続ける。
この交渉が決裂すると、途端に供給側は顧客を失うことになり、顧客は安定した仕入れ先が消滅することになる。
これは双方にとって一大事なのだ。
だからこの交渉は、どんなに短くても半月、長ければ数か月間もかかる。
今回の値上げに関して報道機関を称している朝日新聞は、一応はあれこれ理屈を並べている。
しかし、その値上げの諾否の最終的な判断は、購読者になる。
結果は、値上げを受け入れて購読を続けるか、これを切っ掛けに止めてしまうかのどちらかだ。
第三者には、ちょっとした見ものだ。
ついでに言えば、談合値上げは独占禁止法で禁止されている。
だからこの値上げの方針は、朝日新聞独自の経営判断(のはず)だ。
ただ今までの新聞の値上げでは、どこかが先鞭をつけると、数か月後に他の新聞社も追随してきた。
まさか水面下の合意などはないと思うが、どこか一紙くらいは、気骨を見せればその新聞社への信頼感は高まると思うのだが。
尤も、読者の新聞離れは深刻だ。
朝と夕方にしか情報が取れない新聞に比べ、ネットは四六時中閲覧が可能だ。
テレビも新聞も偏向報道を繰り返したために、記事そのものへの信用もなくなっている。
自業自得の挙句に経営が行き詰まり、その打破策が製品値上げ。
これは壮大な自爆であり、そのトリガーになるのが、今回の朝日新聞値上げ発表だ。