様々な妨害工作を乗り越えて、無事にオリンピックは開催の運びとなった。
東京オリンピック開催に合わせて新たに設定された四連休で、国を挙げてお祝いムードが高まるはずだったのに、我が家は素直に喜べない事態を迎えていた。
連休前の水曜日は、息子のワクチン接種予約日でもあった。
実は前週の土曜日が第一回目の予約受付日だったが、接種希望者が殺到して、ネットも電話もすぐにパンク。
やっと電話がつながったのが一時間後だが、その時点でもう予約枠はいっぱい。
二回目の予約日が水曜日正午からなのだが、息子は仕事中で時間が取れない。
そこで息子に成り代わって、親父が予約をトライすることになった。
しかし今回もまた前回同様、開始早々に電話もネットもパンク状態。
3時間後、先につながったネットでは、無情にも「予約枠なし」と表示された。
「どうせダメだろう」と諦め気分の電話がその直後につながったが、何とこちらで奇跡的に二回分の予約ができた。
この日の重大ミッションを達成して、親父の面目躍如。
息子に自慢タラタラと朗報をもたらす積りが、どうも帰宅した息子の表情がさえない。
聞くと、会社を休んでいる女子社員の一人が、三日間も熱が引かないらしい。
そこで急遽PCR検査となったが、もしも彼女が陽性なら、先ずは隣に座っている三人の濃厚接触者、続いて職場全員にPCR検査が課されるとのこと。
彼女の結果は三日後に判明するので、それまでは自宅待機を指示されたと言う。
成程それなら、憂鬱な気分も分かる。
これは単に息子の職場の問題だけでなく、我が家にも重大な影響を及ぼす。
職場クラスターで息子も陽性なら、我々の日常生活もガラリと変わらざるを得ない。
既に二度のワクチン接種が終わっているので、重篤化リスクは小さいが、それでも陽性者の濃厚接触者として、今までのように勝手気ままな生活はできなくなる。
その場合の具体的な生活振りは、保健所から連絡があるようだが、取り敢えず妻は、連休中のフランス語勉強会出席も遠慮することになった。
息子の方も、どこかに隔離されれば仕事は犠牲になるし、何より悪戦苦闘の結果入手したワクチン接種予約も無駄になる。
そんな不安な気持ちで、連休に突入。
最初の木曜日、起きてきた息子が検温すると、何と37.5度。
途端に妻が「熱が出てきた」と、悲痛な声を上げる。
妻は「無症状感染者も多い」と、この時点ですっかり弱気で悲観的だが、冷静に考えれば、感染していれば何かしらの症状も併発するはずだ。
しかし息子は元気いっぱいで、とても陽性者とは思えない。
あれこれ心配しても事ここに至ると、素人の我々はひたすら家に籠って、職場女性のPCR検査結果を待つしかない。
PCR検査は、検査時点までの陽性者を確認する役には立つが、所詮はそれだけ。
体温計で病気か否かは判断できるが、治療には役に立たないのと一緒だ。
もともと武漢ウィルス防疫の決め手になど、なりはずがない。
玉川徹とテレビ朝日のモーニングショーが、口を極めて「PCR検査をやれ」と主張した理由が分からない。
その後の世界中の経緯を見ても、決定的対策はワクチン接種だった。
そんなPCR検査の結果で、我が家が緊張状態になるとは、お釈迦様でもご存じなかったはずだ。
ストレス塗れの二日間が過ぎ、息子の会社から連絡があったのは土曜日朝一番。
結果は、職場女性は陰性。
泰山鳴動して鼠一匹。
これで元の日常に戻ることができる。
何よりも、心置きなく日本のオリンピック選手を応援できる。
当方の応援に気合が入った所為か(どうかは知らないが)、日本選手の活躍が著しい。
日頃テレビを見なくなって久しいが、ザッピングを繰り返す毎日が続いている。
こんな忙しさなら大歓迎。
ニッポン頑張れ、チャチャチャ!