面白いれいわ新選組の広告ポスターを発見した。
所属の議員の顔写真のど真ん中に、党首の山本太郎が大写しで、そのキャッチコピーは「自民党、公明党、維新、国民民主党には任されない」だと。
れいわ新選組は、立憲民主党、社民党、共産党と協力して政権奪取を目指す算段らしい。
敵味方を峻別した結果、立憲民主党はれいわや共産党の仲間として晴れて認定されたようだが、これは立憲民主党にとって朗報と言えるのだろうか?
最近の立憲民主党は全くの行き詰まり状態だ。
もともと結党時は、同情票込みとは言え20%近い支持率があった。
しかし今では、野党第一党の立場すら危うい。
世論調査では、維新に追い上げられ、既に追い越され、優にダブルスコアに近い差がついてしまっている。
小西洋之のチョンボ発言の結果だろうが、先の補選では五戦全敗となった。
党内では現実的な提案型運営を目指した泉健太代表に対して、反主流派の蓮舫あたりから批判の声が上がっている。
党内の意見対立など自民党でも日常茶飯事であり、一枚岩しか認めない公明党や共産党よりも民主主義的に党運営がなされている証明とも考えられるが、しかしもともと寄木細工の立憲民主党は、意見の違いが党分裂につながってきた歴史がある。
党勢衰退の中での今回の路線対立を、立憲民主党の断末魔と見る政治評論家がいるのはこの所為だ。
しかしこのことは、実は誠に結構なことなのだ。
安倍晋三とドナルド・トランプは、リベラルマスコミの目の敵だったが、中でも国論を深刻に分断したとの批判が目立った。
確かに安倍首相、トランプ大統領の時代に、日本では保守とリベラル、アメリカでは共和党と民主党の対立が先鋭化した。
日本の国防、アメリカの保護政策、膨張する中国にどう立ち向かうかなどは、何をどう決めても必ず反対意見が存在し、しかも話し合いでいずれかが納得するなどあり得ない。
欧州で問題視された移民政策もそうだが、いずれは誰かが手を附けないといけないテーマや、各々に内在する矛盾を正面から問うと必ず国論は二分される。
安倍の集団的自衛権法案にしても、トランプのMAGA、そして欧州の移民規制にしても、全てこれ以上の先送りができない事態だった。
この辺の課題をマアマア、ナアナアで先送りしてきた結果、日米両国だけでなく欧州先進諸国も二進も三進もいかない状況になっていたからだ。
そこで与党が反対意見百出を覚悟の上で現状打破の政策を打ち出すと、途端に野党が騒ぎだして政局になる。
しかし民主主義国家では、この結果を選挙結果に委ねる。
与党も野党も、相手の方針が気に入らなければ、選挙に勝てばよい。
トランプの政策は、四年後のアメリカ国民からはNo!を突きつけられ、共和党は下野する羽目になった。
一時的に熱狂的に支持されても、選挙に負ければまた別の政策が実行される。
健全な民主主義国家には、いくらでも敗者復活の道が用意されている。
我が国ではどうだろう。
日本でも2009年に民主党への政権交代が起きたが、稚拙な体質が露呈され、僅か三年ほどで自民党中心の政権に戻ってしまった。
その後の野党勢力は再度の政権を担う信頼感には程遠く、政権の座が遠のくばかりだ。
では、未来永劫与党に返り咲くことがないかと言えば、そんなことはない。
何故なら日本が民主主義国家である以上、野党のような意見は必ず存在するからだ。
国論を大まかに分類すると、与党的意見が35%、野党的見解は25%程度だろうが、実は残りの付和雷同型が40%で最大勢力なのだ。
この連中は雰囲気次第では与党にも野党にも靡く。
だから与党が重大な失態を仕出かすと、一気に状況が逆転することもないわけではない。
民主主義は両論併記。
どんなに一見正論に見えても、必ず反対意見が存在する。
共産主義や大政翼賛会のようなモノトーンの世の中は、むしろ不健康そのものだ。
黄昏政党の立憲民主党が分裂消滅しても、右寄りは維新や国民民主党、ヒダリ巻きはれいわや共産党に吸収されるだけで、両派閥とも野党として居場所が準備されている。
当方にとってはお邪魔虫で不愉快千万な立憲民主党やれいわ新選組、社民党、日本共産党などは、世の中から消え去ってくれればありがたいと思う。
しかし民主主義だからこそ、その存在価値があることになる。
何とも皮肉だが、民主主義とは実にまどろっこしい社会なのだ。