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イスラム教の凄さ

夫婦でヨーロッパ旅行に出かけている。
25日クリスマスの日に日本を発ち、同日の午後4時頃にオランダスキポール空港に到着した。
乗り継ぎのバスに乗るまでおおよそ一時間。
空港の中を散策する事になったが、クリスマスと言うのに騒がしさが感じられない。
大きなツリーが一本飾ってあるが、別段何かセレモニーがある雰囲気でもない。
キリスト教徒にとっては、むしろ前日のイブの方が大騒ぎする日なのかもしれない。
敬虔な仏教徒を自認する不肖私メ、日本で勝手に盛り上がるクリスマスの喧騒は何度も経験しているが、真のキリスト教徒が迎える厳かなクリスマス的感覚が分からない。

ただ、スキポール空港ではクリスマスツリーを一顧だにしないイスラム教徒たちが大量に蠢いているのに驚いた。
彼らは「メリークリスマス」ではなく、「メリーアラー」とでも唱えるのかな?
空港の人口密度でいえば、半分はイスラム教徒=ムスリムで占められているのではないだろうか。
ムスリム達は、男性は彫りの深い髭面だし、女性は全員スカーフを着用しているのですぐに分かってしまう。
世界中で爆発的に増殖しているイスラム教を、キリスト教の本場オランダで実感した次第だ。

イスラム教もキリスト教絶対神を固く信じ、宗教心の強さでは双璧だろう。
日本にはキリスト教徒は多いが、ムスリムは数百人と言われ、情報量で圧倒的に差がある。
その為、中世の十字軍は、悪いイスラム教徒を征伐するキリスト教の正義の戦いのような印象が強いが、ムスリムに言わせれば、何の咎もなく平和に暮らしていたのに、キリスト教徒が遥かヨーロッパから侵略してきた戦いと思っているに違いない。
実際にキリスト教の宣教師は、歴史的に見ると今で言う国の秘密諜報部員的な働きをしていた。
キリスト教を広める事が国家利益にかなっていたはずで、異教徒の国をキリスト教に改宗させることは無条件で正しい行為だったはずだ。

時代が変わり、世界がグローバル化していく中で、ムスリムの存在感は信じられないほどの速度で大きくなってきている。
ムスリムは、我々日本人にとっては、石油資源を武器に中近東の地でイスラエルと戦い、負け続け、半ばやけっぱちに自爆テロを繰り返す野蛮な集団にしか見えない。
しかし、今や数の上で世界一の宗教集団であり、発展途上国を中心に加速度的に増え続けている。

何故にムスリムは増え続けるのか?
先ずイスラム教に帰依するのに面倒くさい手続きや辛い修行など全く不要、絶対神であるアラーを信じさえすればすぐに立派なムスリムになれる事。
それから、男性ムスリムは基本的に四人まで妻帯でき、且つ産児制限などこれまた不要、よって一人の男性ムスリムから最低でも10人、通常は15名以上の予備軍が出現する。
こうして鼠算式にムスリムが増え続けているとの事だった。

ムスリムが増えるのは構わないが、同時に治安面で大きな不安定要素にもなっている。
ムスリムは、経済的に恵まれない人達も多く、当然ながら数を背景に待遇改善を要求する。
また宗派としての基本は非妥協的な教えであり、またイスラム原理のように一言一句全てアラーの教えを守ろうとする過激派も増えている事から、既存勢力と激しくぶつかり合い、往々にしてキリスト教を旗印にしたアメリカや西欧諸国との戦闘状況を引き起こしている。

ムスリムが、今や世界屈指の大宗教集団である事には異論を待たない。
そして、貧乏一辺倒だった頃に比べると、原油による巨額の富も手に入れている。
諸外国もまた、原油を入手する為にはムスリムへの理解を深めざるを得ない。
そんな異教徒諸外国との取引はアラーの教えにそぐわないと考えるイスラム原理主義集団も、反作用のごとく増えてくる。
限りある原油資源の確保と、その最大資源国におけるイスラム原理主義の台頭。

世界治安不安定の原因の一つである宗教対立、ムスリムの世界規模での増大を実感したヨーロッパのクリスマスだった。