昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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「看板に偽り」があっても......

羊頭狗肉」は詐欺行為であり、超一流料亭だった「船場吉兆」は残り物の使いまわしが暴露され、結果的には店をたたまざるを得なくなった。
最近では食の安全意識が高まり、食べ物で看板に偽りがあると、世間から厳しく糾弾される。

と言うのが通り相場のはずだが、こんな常識は田舎の食堂にはまるで通用しない。

我が家のすぐ近くに蕎麦屋がある。
蕎麦屋のはずだが、丼物の出前がメインの商品の様だ。
10年以上前に奥さんと子供が出奔、その後一時期彼女らしき女性がウロウロしていたが、いつの間にか姿が見えなくなり、今や中年太りした御主人が一人で店を切り盛りしている。
近所の誼でその昔、我が家もその店からカツ丼の出前をとった事があるが、髪の毛が入ったものだったので、その後は遠慮して二度と注文していない。

この店には宣伝用の幟が置かれているが、その内容たるや実態とはまるでかけ離れている。
北海道産韃靼蕎麦粉使用
元祖○○○(町名)の◎◎◎庵
韃靼蕎麦
薬膳蕎麦
◎◎◎庵本舗
だって。

我が町の元祖たって、他に似たような店があるわけではい。
本舗たって、この店に続く他の店があるわけではない。
韃靼蕎麦と薬膳蕎麦が並んで表記されているが、一体どんな蕎麦なのだろう。
北海道産韃靼蕎麦粉使用の証拠があるわけでもなく、何よりこの店で蕎麦を食べている人を見た事がない。

近所中が、看板に偽りありと分かっているが、我が町では船場吉兆を追い詰めたような厳しい追及など全く見られない。
どう見ても衛生的にも裕福でもない冴えない御主人相手に、刺々しい批判を浴びせても大人気ない。
その店で蕎麦を食べなければ済む話なので、誰もが見て見ぬふりをしている。
これが近所づきあいなのだろう。

船場吉兆のように一流を標榜すると世間の目も厳しいが、我が町のインチキ蕎麦屋は、誰からも注目されず、まるで能天気にほとんど来客のない店を運営している。
こうして見ると、有名になってしまうと必ずしも良い事ばっかりではないと分かる。