昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

オウム真理教井上嘉浩への死刑判決について

実は当方、地下鉄サリン事件が起きた日、地下鉄霞ヶ関駅を通過している。
サリンがばらまかれた地下鉄の、15分後に発車した電車の同じ番号の車両に乗っていた。
確か霞ヶ関駅の直前でしばらく停車後、通過してしまったような記憶がある。
ホームに地下鉄の係員が寝ていたので、てっきり喧嘩だと思った。
次の駅で降りたが、階段を出た所でまたも駅員が倒れていたので、「今日は喧嘩の多い日だな」程度の認識で会社に到着したら、家から電話があり、大変な事件が起きた事を知った。
もう一つ早い電車に乗ったらどうなったかは分からないし、更に二つ前の電車ではまさにサリンによる大量の被害者が発生している。
そして我が社にも、長く入院した被害者がいた。
だからオウム真理教サリン事件は他人事ではなかった。

そのオウム真理教元幹部、井上嘉浩に対して死刑判決が確定した。
16歳で入信後、様々な犯罪行為に手を貸した彼はまだ39歳。
この男、大量の信者を入信させた天才的オルガナイザーと言われたが、逮捕された後は真摯に反省、積極的に捜査に協力、教祖の麻原彰晃を批判と、言わば「良い子」に変身していた。
オウム真理教に常に批判的だった江川紹子でさえ、井上嘉浩の死刑回避を望んでいた。
オウム真理教と命懸けで戦ってきた江川紹子をも騙してしまうほどの役者ぶりから、天才的修行者と持て囃された過去が彷彿としてくる。

その井上嘉浩だが、被害者の遺族からは厳しい批判がある。
彼は被害者の遺族に反省の手紙を送ったり、裁判で教祖麻原彰晃を強く非難したり、必死に死刑回避の努力を重ねた。
しかし遺族は、彼の欺瞞を見破っていたようだ。
最も印象的な意見は、「彼は単に死刑逃れの言い訳をしているだけで、教団にいる時から要領だけで生き延びてきた男だ」との指摘だ。

死刑制度廃止の運動がある。
死刑制度は、犯罪の抑止力にならないとの意見も強い。
最近何かと問題になっている亀井静香も、死刑制度廃止論者だ。
しかし井上嘉浩を見ると、死刑を恐れる犯罪者は間違いなく存在する事が分かる。

例え反省の態度をとったとしても、あるいは彼が世間知らずの純真な青年だったとしても、数多の犯罪に手を染め、多くの人を殺めた過去は消えない。
彼は、毎日毎日死刑執行の日に怯えながら、自らが犯した罪を見つめ直さなければならない。
それで被害者とその遺族の無念さが晴らされるわけではないが、それでも井上嘉浩の死刑確定は当然だと思う。