昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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大相撲で八百長絶滅なんてネ...

大相撲技能審査場所が終った。
結局は予想通り、実力がぬきんでている白鵬が13勝で優勝。
しかし、千秋楽には傷だらけの老雄、魁皇に負けてしまう締まらなさ。
場所前に、疑惑の八百長力士を大量追放処分。
今場所は、支度部屋でも土俵下でも、監視委員が睨みを利かせていた。
当たり前だが、ガチンコ相撲だった(らしい)。
「いい相撲が多かった」「緊張感があった」「お客さんも喜んでくれた」と、おおむね好評だったようだ。
しかし喜んでいたと言われる客たって、実は無料観戦組。
プロフェッショナルが、自分の技量をタダで見せるなんて、ボランティア以外では屈辱そのものだ。

大相撲は、八百長の馴れ合いの歴史だった。
それをいきなり、八百長が疑われただけで、25名が追放処分。
では残った連中は全てガチンコ力士だけかといえば、これが極めて怪しい。
何せ相撲取りにとっては、八百長は相撲文化そのものだったはず。
そのお陰で無事是名馬、長く相撲を取り続けられたのだから。
いきなりそれまでの価値観を全面否定されたら、元来単純思考の塊のような相撲取りにとっては、中国の文化大革命にも似た大混乱だっただろう。

しかも、必死に言い訳したにも拘らず、「疑わしきは罰する」と、現在の法解釈ではありえないような強引さで、25人の仲間が追放されてしまう。
やっと開催にこぎつけた技量審査場所では、「これは大変」と心を入れ替えて、必死に相撲に取り組んだのだろう。
何でも、監察委員会と審判部の合同会議で八百長がなかったと最終確認されたらしい。
放駒理事長(魁傑)は、八百長に関して「調査、処分、再発防止」の三点セットが揃ったとの考えで、これで禊は済んだと次の名古屋場所は通常開催する積りらしい。
しかし、支度部屋への携帯電話の持込禁止なんて、そんな馬鹿げた対策で八百長が根絶できると思っているのが笑わせてくれる。
子供じゃあるまいしどんなに知恵が無い相撲取りでも、今更そんな幼稚で疑わしい行動をとるわけがない。

問題は、相撲取りにとって八百長はDNAそのものだった事にある。
「相撲は日本文化そのものだ」と力んでいた、自称相撲大好き文化人達の言葉を借りるまでもなく、相互扶助、持たれ合い、談合は、農耕民族の日本人には当たり前。
今回処分を免れた相撲取りの多くが、実は後ろめたい思いがあるに違いない。

白鵬だって、魁皇だって、噂だけなら八百長力士だ。
ほかに、「彼は絶対にガチ力士だ」と言われる相撲取りの方が少ない。
大体、そんな言葉自体が、大相撲では八百長が当たり前だったことの裏返し。
そもそもあんなに激しく肉体をぶつけ合う競技を、一年六場所、90日に亘って続けるなんて無理がある。
少なくとも開催を一年二場所か三場所程度に減らし、相撲取りの体をケアする期間を持たないと、本当のガチンコ相撲パフォーマンスなんか出来っこない。
また十両にならないと給料が貰えない今の相撲システムを変えない限り、喉元過ぎればDNAが復活して、仲間の苦境を助けようと相互扶助精神が発揮される。

今回もまた、その場凌ぎの対処療法で夏場所開催に邁進する相撲協会は、十両への大量昇格者を送り込んだ。
中には負け越しても昇格した力士もいる。
貴乃花親方は「運も実力」と詭弁を弄しているが、これもまた八百長の一種。
「土俵の充実」の文言は、一体どこに行ったのだろう。
諸悪の根源といわれる親方株も、個人の財産権を理由に手付かず。
八百長が絶滅したはずの夏場所も、変わるのは表面だけ。
内実は、親方や相撲取り達が、今までと同じ光景が繰り返すに違いない。