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菅直人と鳩山由紀夫の損得勘定

菅直人への不信任案を巡っての、民主党ドタバタ劇の内容が段々に分かってきた。
鳩山由紀夫は、菅は復興基本法が成立したら退陣する事を約束したと主張している。
菅は、そんな約束はないと弁明した。
密室の出来事なので、真実は当事者にしか分からない。
が、意外にも造反組の数が多かったので、不信任案成立を恐れた菅が、鳩山が提案したストーリーに乗って、退陣表明と引き換えに実際は延命を図ったのが実態だろう。

騙された鳩山の政治音痴ぶりは、見ていても痛々しい。
泥舟でしかない民主党の分裂回避の為に菅を説得し、事態収拾に成功した積りだった鳩山は、土壇場の民主党代議士会で、白馬の騎士のような大見得を切った。
身内の鳩山が「菅が退陣するから不信任案を否決」と言い出したので、不信任案に賛成する積りだった造反組は総崩れとなる。
ところが腹黒の菅にとっては、不信任案さえ葬れば居直る事ができる。
鳩山のお陰で不信任を免れた菅は、退陣は単なる口約束だったので、アッカンベーを決め込んだ。
総理大臣の地位を手放したくない一心の菅は、「一定の目処がつけば退陣」から更に厚かましくなり、「元々そんな約束はない」と言い出した。
これでは、鳩山が嘘をついているか、妄想に駆られている事になる。
菅との交渉で最後の詰めを誤ったお人好し鳩山は完全にピエロになり、満天下に恥をさらす結果となった。
当然ながら鳩山は激怒する。
前夜は、菅と口裏を合わせた現岡田克也幹事長を「うそつき」と罵倒し、今度は現総理大臣を「ペテン師」呼ばわりする。
二代に亘る総理大臣の内輪揉めは、国際的に見ても誠にみっともない。
とは言え、今更鳩山がいくら「約束を守れ」と騒いでも、権力の亡者、菅は「してやったり」なので、完全に開き直っている。

客観的には、騙された鳩山は分が悪い。
しかし、鳩山は、自らの大恥と差し違えで、菅の人間性を白日の下に曝した。
菅は「歴史に名を残す総理大臣になりたい」のだそうだ。
今回の大騒ぎで、間違いなく菅は歴史に名を残す総理大臣になった。
しかしそれは、「詐欺師、ペテン師まがいの手段で延命した総理大臣」の汚名の方だ。
菅は、総理大臣の座を守る為なら、平気で嘘をつき、人を裏切る。
一国の総理大臣が、ここまでひどい嘘をつき通すと、さすがに誰もが呆れ果てる。
こんな総理大臣が、来年まで居座るのは絶対に不可能だ。

今後は誰一人、菅の約束を信じる人がいなくなる。
菅が「一定の目処をつける為にご協力を」と訴えても、「どうせ自己保身の為」としか見られない。
被災者支援政策は何一つ進まないし、政治家としては致命的だ。
(恐らくは個人的にも、菅に金を貸す人はいないだろうナァ。)
騙されるヤツもお粗末だが、やはり世の中、騙す人間の方が性質が悪い。
「泣くな、鳩山!」
鳩山の稚拙さは、図らずも菅の性根が腐りきっている事を暴き出した。

「天網恢恢疎にして漏らさず!」
「お天道様が見てござる!」
そう考えると、鳩山の大迷走もそうは捨てたものではない。
結果としての損得勘定は、世間から呆れられた鳩山由紀夫は中損、世間の信用を失った菅直人の方が大損だろう。