昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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メジロの思い出

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幼い頃に、メジロを飼っていた。
田舎で育ったので、冬の楽しみは山に行ってのメジロ取り。
メジロ落とし」と称していた。。
トリ餅を枝に塗り付け、その枝の先端に柿を刺しておく。
ブッシュに潜み焚き木をしながら、焼き芋を頬張り、ひたすらメジロがトリ餅に止まるのを待つ。
柿を啄もうと枝にとまった瞬間、メジロの足は自由を失い、仰向けにぶら下がってしまう。
恐らくは、これが「メジロ落とし」の語源だろう。
すぐにトリ餅から引き離し、そのまま籠に入れて、家に持ち帰る。
翌朝には、竹で編んだ鳥籠でメジロを飼う。
芋に野菜を摺りこんだ特別食で餌付け。

オスかメスかは、鳴き声で区別する。
「チュリー」と鳴くとオス「チー、チー」と鳴くとメス。
事実かどうかは知らないが、ずっとそう思い込んでいた。
更に止まり木の下に山盛りとなっている糞掃除の為に、新聞紙を変えなければならない。
世話を焼くのは、結構大変だった。
一所懸命に世話しても、メジロが夜泣きすると翌日は死んでいた。
鳥目と言うくらいだから、鳥が夜に活動する事はないはずだ。
それが夜に囀るのは、変調を訴えていたのだろう。
だから夜にメジロの鳴き声を聞くと、無性に悲しくなった事を覚えている。

その後はメジロなんてまるで無縁の都会生活を送っていたが、数年前に思いもかけず再会した。
夏に観葉植物のベンジャミンゴムを庭に出していた所、その中にメジロが巣を作っていた。
毎日注意深く観察していると、親鳥が四個の卵を温め始める。
その内に孵化し、親鳥は毎日餌を運んでくる。
そこで写真を撮ろうと、脚立を持ち出し巣に近付いたら、すぐに親鳥が戻ってきて、緊急事態を告げる鳴き声を張り上げる。
途端に四羽のひな鳥は、巣から飛び立っていった。
子供の危機を知らせる時の必死さは、たかがメジロでも充分に伝わってきた。
その後、メジロが我が家の庭を訪れる事はなくなってしまった。

そのメジロも、狩猟禁止になってしまった。
その昔から、メジロは人間にとって仲良しの観賞動物だった。
子供の情操教育にももってこいと思うが、種の保存が優先せざるを得ない。
残念ながら、一つのどかな楽しみが消滅した。