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インチキが許される野球の問題点

最早旧聞に属するネタで恐縮だが、何せ当方、最近野球に興味を失せているのでご容赦願いたい。
日本シリーズ第5戦、勝った方が王手をかける天下分け目の大勝負で、何とも割り切れないことが起きた(らしい)。
実際は見ていないので、以下は全てヤフーニュースが情報源だ。
日本ハムの多田野投手は、巨人加藤健への投球が危険球に認定され、退場処分を下されたのだが、これが何と大誤審。
実はバント失敗なのに、加藤は苦痛に顔をゆがめる小芝居。
原監督まで心配の表情で加藤をアシスト、栗山監督の猛抗議でも判定が覆らず、日本ハムは追加点を奪われ、敗北した。
と、こんな経緯らしい。

当事者の加藤は、「無我夢中だったので」と言葉を濁しているらしいが、死球かどうかが分からないはずがない。
演技をしてまで死球をアピールしたのだから、確信犯に違いない。
野球では、こんなインチキが頭脳プレイして認められているし、奨励されもする。
今は解説者として生意気な建前論を喋っている達川は、現役時代は当たってもいないのに実しやかな演技を繰り返す常習犯だった。

今回は被害者になった多田野は、「騙す方も騙す方、騙される方も騙される方」とコメントしたらしいが、日本ハムファンは大不満でも、巨人ファンはニンマリ笑って沈黙する、
野球とは正直者が必ずしも報われない、こんなインチキも含んだゲームなのが、暗黙の了解事項となっている。
関西のクリスチャン系高校の外国人校長が、野球は盗塁を認める下劣なスポーツと貶したことを聞いたことがある。
キョロキョロと隙を見て、次の塁を文字通り「盗む行為(英語でもSteal)」を、多感な高校生にやらせるのは教育上よろしくないとの理屈らしい。
何と時代錯誤な人と思ったが、今回の事件を見れば、「勝つためには嘘も許される」のなら、やはり野球に青少年の心をゆがめてしまう面があると考えざるを得ない。

一方のゴルフ。
こちらは全て、自己申告のスポーツだ。
だからインチキをしようと思えばやり放題、なんでもアリなのだが、バレタ時のペナルティが厳しい。
社会的だけではなく、人間としての信用も無くしてしまう。
また自分に不利なことを正直に申告すると、当たり前なことだが、そのことを末代まで語り継がれる名誉を与えられる。
ボビー・ジョーンズは、誰も気が付かなかったのに、微かにボールが動いたと自己申告しペナルティを受け入れたが、「球聖」として伝説のゴルファーとなっている。
無論ゴルファーの中にも、不心得者はいる。
OBゾーンからプレイした安田某とか、スコアを誤申告したり、果ては改竄した輩もいるにはいるが、そのことで失った損失は計り知れない。

今回の巨人加藤が仕出かした行為は、野球では不問に付されるようだが、ゴルフなら永久追放に匹敵する。
マチュアは楽しめばいいが、プロは生活が懸かっているからとの言い訳があるかもしれないが、金を稼ぐための嘘が許されたのは一昔前まで。
今や我々の社会でも、コンプライアンス全盛時代で、正直に生きることが要求されている。

今年の日本シリーズで例え巨人が勝っても、必ず今回の事件は論われるし、後味の悪さであり続ける。
しかし今回の事件を、スポーツマンシップに則って、当事者の巨人や加藤が自ら進んで反省の弁を述べる機運はない。
こんなところにも、野球の前近代性と前途多難さが潜んでいる。