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安倍晋三新首相の経済政策

自民党の政権復帰と、安倍晋三の総理大臣就任が決まった。
今回の選挙前から民主党の惨敗は確実だったので、実は安倍の総理大臣復帰は自民党総裁選挙の時点で決まっていた。
その証拠に、安倍が自民党新総裁就任直後に「円高是正とインフレターゲット」と発言した途端、それまで80円前後に張り付いていた円レートが一気に円安傾向を辿り、今や85円程度。
また株価も上がり始め、ダウ平均が1万円を突破した。
万事目出度し愛でたしのはずだが、選挙運動中には、安倍晋三の経済政策は様々な批判を浴びていた。
極めつけは経団連、米倉克昌の「安倍の経済政策は無鉄砲」発言で、さすがにこれは「もっと勉強して反論しろ」と安倍晋三の怒りを買ってしまった。
米倉はこの発言の所為で、経団連が政権復帰確実の安倍自民党へのゴマすり訪問をした時,その代表団に入れなかった。
米倉は、他でも何かと問題発言を頻発している。
当分の間は自民党政権が続くだろうから、経団連としては余計ないざこざを背負い込んだと困り果てていることだろう。

ところで肝心の安倍晋三の経済政策だが、米倉とは違った意味で、これは絶対にうまくいかないと断言する。
過去にも「上げ潮路線」とかの名称でインフレ政策が採用されたが、結局は経済コントロールができず、最終的には格差拡大となって国民にそっぽを向かれた。
インフレ政策は、必ず体力、競争力の差で、富める大企業と乗り遅れる中小企業の格差を生じる。
国民にとっても、インフレ率と同じレベルで給料が上がれば問題ないが、今回も経団連は、賃上げゼロを提唱しているほどなので、そんなことが出来るのは極めて小数の、大儲けしている企業に限定される、
更に、例え運よく賃金が上がることになっても、インフレと同じスピードはあり得ない。
モタモタと時間がかかっていると、その間にインフレが更に進み、生活は困窮の一途をたどる。
そして最後は、国民に「却って生活が苦しくなった」と不満の声が充満し、野党からは「大企業優先」とか「格差が拡大した」とか批判され、結局は政権の座から退かざるを得なくなる。
そんなことが繰り返されている。

小泉純一郎構造改革も、大韓民国李明博の経済政策もそうだった。
インフレ政策は必ず、勝者と敗者を作り出し、敗者側には不満が蓄積される。
李明博は今回の安倍晋三とそっくりの経済政策を採り、ウォン安を武器に韓国企業は世界中に輸出攻勢をかけ、韓国経済は大いに潤った。
だから初期の李明博は、結構支持率が高かったはずだ。
しかし時間の経過とともに、韓国で成功したのはごく一部の大財閥、サムソン、現代だけで、ウォン安の所為で国内の生活が苦しくなった中小企業や労働者から猛烈な格差拡大への批判が巻き起こり、末期の李明博政権の人気は、落ちるところまで落ちてしまった。
焦った李明博が、失地回復に採った手段が竹島上陸パフォーマンスだったことも記憶に新しい。

残念ながら、政権が変わろうとも、安倍晋三が首相になろうとも、日本経済が画期的に回復することはありえない。
アンブロ-ズ・ビアスの「悪魔の辞典」風に言えば、景気が良くなるとは、先に一部の金持ちが猛烈に儲けて更に裕福になり、遅れて普通の国民がほんの少し恩恵に浴し、そして圧倒的多数の人たちは最後まで何の得もない状態を言う。
インフレ政策では、格差是正など夢のまた夢でしかなく、実態はどんどん格差が拡大してしまう。
唯一残る手段は、貧者へのホドコシ、バラマキ政策だが、すぐ横で大儲けしている連中がいるのが分かると、「こんな涙銭では騙されないぞ」と、圧倒的多数派は不満を募らせる。
第一バラマキが出来るほどの、財源余裕すらなくなっている。

安倍晋三経済政策の本音は、「大金持ちが更に金持ちになれば、中産階級も、下層階級も、それなりにオコボレがあるので、その程度で我慢して」なのだが、そんなことでも言おうものなら一気に人気凋落、政権維持困難になるので、「景気を回復して、国民の生活を豊かにする」と薔薇色に表現しているものだ。
これで国民は、今度こそ明日の生活が楽になるのではと期待するが、すぐに「物価は上がったが、給料が上がらない」と不満を持ち、政策が間違っていたと思い始める。
問題は、どれだけの期間、国民が夢を見ているかだけだ。