昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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シリーズ物は嫌い

東野圭吾の小説は面白い。
それは認めるが、シリーズ物は嫌いだ。
よってガリレオや加賀恭一郎が、快刀乱麻を断つがごとくに謎解きして事件を解決する小説は、各々一冊しか読んでいない。
西村京太郎の十津川警部や、内田康夫浅見光彦も然り。
海外では、アガサ・クリスティエルキュール・ポアロミス・マープルシリーズ、コナン・ドイルシャーロック・ホームズさえ、複数の作品を読んだ記憶はない。
いずれも大人気シリーズだし、作家が血の滲むような苦労の上で作り上げたキャラだろうが、同じ登場人物が活躍しても面白くないし、どうも読む気にならない。

テレビのデビット・ジャンセン主演の「逃亡者」は中学時代の大人気番組だったが、結末までに数年間かかったので、途中で見る気が失せた。
NHK朝の連続ドラマも見たことがないので、今や世界的に有名になった「おしん」の辛抱強さも伝聞でしか知らない。
番組の最後に「それでは来週(もしくは明日)をお楽しみに」とテロップが流れると、世の中には気の長い人がいるものと感心してしまう。

新聞の連載小説も読まない。
一時期、渡辺淳一の「失楽園」が日経新聞に連載され、サラリーマンがこぞって読んでいた。
わが社の同僚たちの朝の会話は「今朝の描写は生々しかったなぁ」で、敏腕編集者の主人公に自分を重ね、更に美しい人妻との不倫に憧れ、日ごろの憂さを晴らしていた感があった。
全くその小説を読んでいなかった僕も、彼らの会話から何となくあらすじが分かっていたほどだ。
しかしそんなに人気があった小説でも、毎日少しずつしかストーリーが進まないのでは、とても待っていられない。
生来のせっかち気質ゆえに、一年後まで結論が分からないなんて絶対に我慢できない。
小出しに読むくらいなら、たとえ同僚同士の話題に入れなくても、単行本が出るまで待って一気読みした方が良い。

それでもいくつかの例外がある。
一つは映画「男はつらいよ」シリーズ。
これは48作品を全部見ているし、テレビで再放送がある度に、何度も何度も見直す。
それほど熱心なファンなので、シリーズを通して、寅さんを演じた渥美清の肉体の衰えや、さくら役の倍賞千恵子が御嬢さんからオバサン、お婆さんに変遷していく様も解説できるほどだ。
日経新聞の「私の履歴書」も、一か月間楽しみにして読む。
基本的には功成り名を遂げた経済人の自慢話のオンパレードなのだが、中には翌日の記事が待ち遠しいものもある。
統計的には、総じて女性、とりわけ大女優が自分の過去を赤裸々に暴露すると注目するようだ。
数年前のラジオ英会話のチャロシリーズも、再放送を含めて四年間聴き続けた。
3月のテキストに、最終日、最終回の結論が掲載されていても、放送当日までは絶対に先読みしなかった。
自分では「待て暫し」ができない性格と思い込んでいたが、意外な面を発見したような気分になった。

長期間に亘って辛抱するだけの価値があるから、シリーズ物が流行るのだろう。
僕は単に食わず嫌いなのかもしれない。