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東京オリンピックって本当に開催できるの?

一週間前は日本中がお祭り騒ぎだった。
ヴエノスアイレスのIOC総会で、2020年オリンピックの東京開催が決定。
太田雄貴佐藤真海、滝川クリスタルの招致スピーチは、その内容だけでなく、流暢な外国語が持て囃された。
政治家の方は、安倍晋三猪瀬直樹も、英語のスキルはお世辞にも褒められたものではなかったが、とにもかくにも東京が選ばれたので、結果良ければ全てよし!
猪瀬直樹は、ペンダントに張り付けた写真と愛妻物語を披露し、すっかり「時の人」扱いだ。

しかし東京招致成功の決定打、安倍晋三の「The situation is under control.」発言は、その後波紋を広げている。
フクシマ原発問題は、誰もが「ウン?大丈夫」?と首を傾げる状況だからだ。
有ろう事か、野党民主党の会合で東電幹部が、「状況はコントロールされていない」と、安倍晋三発言を否定してしまった。
今や会社の体をなしていない東電が全く頼りにならないから、政府が500億円近い資金投入してまで汚染水処理に乗り出そうとしているのに、肝心の東電幹部が安倍晋三の足を引っ張る。
流石に東電側は、後に必死に取り繕いこの発言修正に躍起だが、世界中に発信されたこの情報は最早取り消しは利かない。
安倍晋三は、「飼い犬に手を噛まれた」思いで、さぞや憤懣やる方ないだろう。

そもそもフクシマ原発の汚染水は、一体どのような解決方法があるのだろうか?
2020年に東京に集まる世界のスーパーヒーロー、ヒロインも気が気ではないと思うが、何よりもフクシマ近郊に住む我々自身が不安で仕方がない。
汚染水300tが漏れ出したと大騒ぎになり、結局政府が解決に乗り出して一安心みたいな雰囲気だが、その解決手段は漏れないタンク設計のような話になっている。
本質的解決は、汚染水の汚染を解除する方法だろうが、そんな話は全く聞こえてこない。
連日汚染水は増え続けているのだから、7年後には膨大な量になってしまっているはずだ。
「臭いモノには蓋」をしていると、その内に日本列島全部が臭いモノの保管場所になってしまう。
実際はどう見ても、安倍晋三の法螺よりも、東電幹部の「失言」の方が現実的だ。

僕は最近、韓国と韓国人に対して好意を持っていない人間だが、その韓国ネットで「日本は汚染水処理が出来ずに、オリンピック開催を返上する」との予測が出ているらしい。
「馬鹿メ!」と一笑に付したいところだが、フクシマ問題を冷静に考えれば、決して「民度の低い韓国人が言いそうな、単なる与太話」として片づけられない。
安倍晋三は日本代表として、一歩踏み込んだ大見得でIOC委員たちを安心させたのだが、このスピーチの評判がいい程、日本の逃げ場はなくなる。
実は当初、ヴエノスアイレスでの日本側代表団はプレゼンで、「東京は大丈夫」と繰り返していた。
これは、フクシマ問題は福島地域限定なので、距離が遠い東京への影響は些少とのイメージを与える事で、フクシマ問題を乗り切ろうとした作戦だったと思われる。

しかし日本国総理大臣、安倍晋三が発言するとなると、そんなファジーな内容では国際社会を納得させることが出来ない。
はるばる地球の裏側まで出掛けた安倍晋三としては、何としても東京開催を実現しなければカッコつかない。
そんな状況下で、プレゼンのコンサルタント安倍晋三に伝授したのが、「笑顔、自信満々の立ち居振る舞い、英語で」大見得を切って安心させる事だったのは、容易に想像がつく。
極端に言うと、オリンピックの東京招致さえ決まれば、フクシマ問題は時間を掛けて何とか遣り繰りしようとしか考えていなかったのだろう。

しかしフクシマ問題は、そんなに簡単ではない。
発生以来、既に二年半以上が経過したが、この間一度として事態が好転した事はない。
ずっと悪化の一途なのだ。
溜まりに溜まり、今後とも溜まり続ける汚染水だって、今の技術レベルでは、海に流して希釈するしか方法はないのではないか。
しかし日本政府は世界に向かって、そんな事を発言する度胸はあるのだろうか?
それとも東京オリンピック開催までは、どこかに隔離して隠し通す積りなのだろうか?
その場合は、隠し場所として我が家の近所に汚染水のタンクが設置されるかもしれない。

東京オリンピック開催を云々する前に、我々はフクシマ原発問題にもっと深刻に直面しなければならない。
それは、原発の危険性や必要性の議論ではない。
綺麗事や未来への不安よりも喫緊の課題は、既に大問題を引き起こし、且つ全く解決の目途が立っていないフクシマ原発の封じ込め策なのだ。
それが具体的に立案されない限り、本当に東京オリンピックが開催出来ない可能性が消え去る事はない。