昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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リッチな気持ち

「美術盆器名品大成」なる本がある。
平成二年、日本盆栽協同組合・編、(株)近代出版が出版した、中国編、日本編の二冊でワンセットのもので、非売品だったようだ。
日本と中国の盆栽鉢の参考書籍で、日本の盆器としては超有名な東福寺、涌泉、香山、一石だけでなく、現在も常滑で活躍中の窯元の製品、中国の盆器は古渡烏泥、紅泥、均窯などが掲載されている。
盆栽界で一級品といわれるものが数多く載っている盆栽人の座右の書、最大の参考書籍だが、今やすっかり品不足の様で、なかなか入手できない。

偶にヤフーオークションにも出品されるが、不思議な事に出品者も落札者も、メンバーが固定されている。
しかも終了間際に、次々と入札され、価格がどんどん競り上がっていく。
何度かトライしているうちに、このカラクリに気が付いた。
どう見ても詐欺行為に近く、真面なオークションではない。

古本マーケットも調べたが、日本では一度として在庫があった例がない。
台湾の古本屋に在庫があったので問い合わせたところ、価格は日本の相場に比べ、二倍以上だった。
時々中国のネットオークションに全く同じものが出品されているようだが、こちらはおっかなくて参加する気にならない。
そんな訳で、欲しくて仕方がなかったが、入手する事を諦めていた。

偶々先週金曜日、自宅でネットサーフィンしていたら、またしてもヤフーオークションに同じ商品が出品されているのを見つけた。
今回の出品者は、いつもの如何わしい連中とは違う盆栽業者かもしれないが、説明の文章は他の出品者と瓜二つなので疑念が払拭できない。
僕が見た時には、既に3万円を超えていた。
そこで更に、他に出品がないかと検索したら、東京の古本屋に在庫があると出てきた。
過去数年、何度検索しても「在庫なし」だったので、俄かには信じられない。
価格は消費税込5万円ちょっとなので、オークションの現在価格よりもかなり高い。
しかし過去に数回、ネットで古本を購入してきたが、オークションよりも当りはずれが少ないので、「見つけた時が買い時!」と、ダメ元で発注してしまった。
その日のうちに本屋から確認メールが来たので、翌土曜日に振込完了。
すると日曜日には、「美術盆器名品大成」が送られてきた。
さっそく中身をチェックしたところ、20年以上も前の本にしては傷みがほとんどない。

長年憧れ続けながら、ほとんど購入を絶望視してきた本が目の前にある。
しかも、こんな素晴らしいコンディションで入手できるなんて、嬉しくて仕方がない。
今夜は抱いて寝たい気持ちが、何せ縦42cm、横32cm、暑さ8cmのデカい本なので、枕元に置いて、夢でも見る事にしよう。
まるでゴルフクラブを新調したのと同じ気分だが、5万円の出費で、こんなリッチな気分になれるなんて、なんて安上がりな男なんだろう。