昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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今は昔、バブルの頃がありました

1980年代中盤から後半にかけて、日本中がバブル景気に沸いていた。
恐らくは空前にして絶後。
日本中が狂っていた時期なので、人生が変わってしまった人も多いに違いない。
この時にどんな無駄遣いをしたのか、冷静になった今、振り返ってみるのも悪くはない。

僕は、何と言っても1988年、悲願だったゴルフ会員権を買った。
この頃は接待ゴルフの全盛時代だったので、スタートを取るだけで大仕事。
メンバーにならないとゴルフができないような、そんな恐怖観があった。
今は信じられないが、フロントにコネをつけ、プレイの度に付け届けを持って行ったものだ。
このコースは10年間所持したが、ご多分に漏れず大損して処分する事になった。

また当時勤めていたビルの一階に銀行の支店があり、そこでは月1万円のコストで個人用金庫を借りる事ができた。
個人商店なら脱税用二重帳簿などあるかもしれないが、当方は税金を天引きされるサラリーマンなので、別段こっそり保管する書類などあるはずもない。
ただ自分の金庫があるのがとても優雅な気がするだけで、約一年間借りた。
そこに保管していて一番価値があったのはゴルフ会員権、後はどうでもいいようなものばかりだったが、毎回面倒な手続きを強要されても、重厚な作りのドアを開けて金庫に入っていくのはワクワクした記憶がある。

自宅を買い替えたのは1990年。
最初の家は、庭も結構広かったが、最寄りの駅から遠かった。
それだけでなく、近所のネギ畑の関東ロームが、乾燥した冬になると北からの強風に煽られて舞い上がる。
ドアや窓の隙間から細かい粒子の土が、容赦なく部屋に入り込んでくるのに参ってしまって、家の買い替えを決心した。
この時は、出物の土地をサッサと買ってしまったのに、肝心の家が売れない。
下手をするとダブルローンで生活破綻とまで心配したが、奇跡的に90年6月に買い手が見つかった。
その後8月からは未曽有の不動産不況に突入、不動産業者が次々に倒産した事を思えば、まさに土壇場のギリギリで助かった気分だった。
買った土地も、注文建築も、バブル末期だったのでかなりの高価格だったが、同じ条件で家を売っているので、家の買い替えではバブルでの損失はない。

バブル時代には、分不相応なゴルフドライバーを買ったことがある。
一本20万円のミズノチタンドライバーが、この頃に発売された。
飛ぶ、飛ぶと評判だったが、さすがに価格が高い。
暫くは高嶺の花だったが、たまたま帰宅途中のクラブショップで二割引きセールをやっていたので、衝動買いをしてしまった。
大事に使っていたし、効果もあったと思うが、その内にもっとデカヘッドでもっと安価なドライバーが多数発売され、いつの間にか廃番になってしまった。

銀座の飲み屋に行ったのは、後にも先にもバブルの頃しかない。
この頃は帰りのタクシーを捕まえるのが大変で、「タクシーが戻って来るまで飲み直し」とかの理由で、午前三時四時まで飲んでいた。
それでも翌朝はちゃんと出社していたのだから、体力があったものだ。
と言うか、異様に内面から盛り上がっていたので、疲労を感じる事がなかった。

バブル時代は仇花と評価されている。
当時の日本は、世界中で元気いっぱいで、ニューヨークの高層ビルを購入したりを、ゴッホの絵を買い込んだりしていた。
後に長期に亘りバブル後遺症に悩まされたが、バラ色の未来を疑わなかった時代を経験したのは決して無駄ではなかった。