昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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猪瀬直樹の顔!

「人を顔で判断してはいけない」などと正論を言う人がいるが、実は我々は多くの場合、顔を重要な判断基準にしている。
顔って、その人の中身を、正直に表してしまうからだ。

最近で言えば、東京都知事を辞任した猪瀬直樹
徳洲会から5千万円を借りたと言い張るが、嘘をついている顔そのものだった。
第一に、目にも声にも力がない。
焦点が合わない眼で朧げに前を見ながら、ボソボソと小声で言い訳する。

一方、東京都知事選を史上最高得票で勝った時の顔はまるで違う。
内面の高揚感が、顔中に溢れていた。
遠いブエノスアアイレスのIOC総会で、2020年東京オリンピック開催が決まった時の高揚した顔もそうだった。
この時は、誘致活動中に死亡した奥さんの顔写真まで持ち出し、自分の手柄を自慢タラタラの表情だった。

そしてそれに比べ、徳洲会から5千万円を「個人的に借りた」と説明する時の顔の情けなさ。
そもそもどう考えても、徳洲会が何の目的もなく、猪瀬直樹にカネを貸すはずがない。
イヤ、徳洲会猪瀬直樹の間では、カネの貸し借りではないはずだ。
あれは正確に言えば、猪瀬直樹徳洲会に便宜を図る事の見返りに、貰ったものだ。
だから借用書なんて最初からあるはずがないし、本来は返す積りもなかった。
しかし徳洲会が他の選挙違反で強制捜査され、猪木直樹に贈与した5千万円の存在を当局に押さえられたので、慌ててつじつま合わせに返却したように取り繕ったに過ぎない。
だからこそ釈明は二転三転するし、次々と辻褄の合わない話になってしまう。
辞任会見は、むしろサバサバした顔つきだったのは、それまでつき続けた嘘から解放される安堵感からだろう。

そのプロセスの全てを、猪瀬直樹の表情は、如実に物語ってきた。
我々は、個人の心の高揚、動揺を、これほどまでに顕著に変化した例を、実況中継で見ることが出来た。
登場人物はパッとしない三文役者だったが、問題発覚から辞任表明まで、面白い見世物に遭遇できた幸運を喜ばなければならない。

ふとした時の表情が特徴的な人も多い。
松本清張の短編傑作に、「顔」がある。
劇団員が犯行直後の列車で、タバコをくゆらす横顔を見られていた。
その後映画の主役に抜擢された犯人だが、タバコを吸う横顔のシーンが目撃者の記憶を引き起こしてしまう。
そんな粗筋だったと記憶している。
猪瀬直樹も、椅子に座って答弁を待っている間は、心ここにあらずで放心状態の顔をしていた。

顔って、ハンサムとか、不細工さに注目しがちだが、実はその人の持つ内面の豊かさや、心の優しさ、人柄を正直に表している。
逆もまた真なりで、悪人には悪相が出てくる。
稀に天才的詐欺師などがいて、顔中善人でも実はワルなんてあるかもしれないが、それは例外。
僕自身は、本格的二枚目を自称しているが、他人様の評価は良くて個性的面妖まで。
しかし悪意な顔つきでは絶対にない!と、勝手に確信している。