昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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田舎町の本屋サン

度々出張する時に、列車の時間待ちの間に駅前の本屋へ立ち寄るのが定番だ。
しかし最近では商店街の姿が激変し、ほとんどの田舎町で駅前書店の姿が消えた。
確かに、本の商売では大した利益が出るはずもないが、何とも寂しいものだ。

しかし毎月訪れる名古屋地区の小さな町の駅前には、依然として一件の本屋が残っている。
但しこの駅は結構電車の本数が多いので時間潰しの必要がなく、皮肉なもので全く立ち寄るチャンスがなかった。
ところがこの顧客に通い始めて七年目の最近、たまたま昼食をとった後に時間に余裕があったので、初めてこの店に立ち寄ってみた。

中には、店番の爺さんが一人。
どう見ても、熱心な商売人風情ではない。
将にうらびれた店の佇まいそのもので、こんなご時世になんで店を維持できているのかが不思議なほどだったが、入り口の書棚を見て合点がいった。
そこには「幸福の科学」総裁、大川隆法の本がずらりと並んでいる。
当方が興味のある小説類は、少し奥まった書棚にほんのオ印程度が置いてあるが、いずれも表紙もくすんで埃だらけ。
一番奥の、爺さんが座っている隣の書棚はアダルトコーナーで、猥褻な表紙絵と、口に出すのも憚るタイトルの本があり、こっちはソコソコに充実していた。
要は、幸福の科学の信者が、毎月発行される大川隆法の本を買い、偶に近所の好きモノがエロ本を買うだけで何とか成り立っている本屋のようだ。

大川隆法の本は、新聞の広告でしか知らないが、「話題のあの人の死後、第一声を伝える」とか、大川隆法大先生が死者にインタビューしたと称して、何とも勝手な本を仕立てあげている。
今回は、ネルソン・マンデラ死後6時間の復活インタビューで、彼の「ラストメッセージを伝えたい」との霊言集が、税込1470円で発売されたようだ。
今月は更に「渋谷をつくった男、堤清二」や山崎豊子との死後第一声まで発売されている。
大分前だったが、大川隆法卑弥呼の対話集も発売されたはずだ。

しかしこれだったら、何でもかんでも本を書けてしまう。
大川隆法総裁の有難いご託宣を信じている人には、人生のバイブルにも匹敵するのだろうが、僕のような「幸福の科学」素人には、こんな内容を理解する事は不可能だし、有難味もゼロ。
無論信仰の自由があるのだから、誰がどんな神様を信じようと、僕に迷惑さえ掛からなければ気にする必要はないが、信者数が世界最大のイスラム教やキリスト教にすら興味がないのだから、この手の新興宗教には関わる積りはサラサラない。
芸能界では、今や主流派となっている創価学会員芸人の釈伏を断ると、仕事を干されるらしい。
幸福の科学って、最近では選挙の度に全国で信者が立候補するが、未だ一人として当選した事がない。
しかし、布教活動は結構派手だ。
こんなところで「鰯の頭も信心から」と、下手に勧誘されると断るのも面倒くさい。
そうと分かれば長居は無用と、サッサと店を後にした。

昔は駅前には、必ず本屋があった。
しかし今では大手チェーン店以外で、昔からの本屋を探すのは一苦労だ。
そしてわずかに残った本屋は、新奥宗教の信者で支えられている。
本屋に限らず、八百屋も魚屋も、皆スーパーやコンビニに駆逐された。
日本中から、牧歌的な街並みが消えるはずだ。