昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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何だかアベノミックスっておかしいナァ!

新年の挨拶周りをすると、決まって4月に実行される消費税率アップの影響が話題になる。
過去の実績から、3月までの買いだめの反動で消費がグッと冷え込み、一気に景気が悪くなるのではと懸念する声が多い。
確かに自動車だの、住宅だの、家電だのは、みすみす3%も買値が上がってしまうことが分かっている。
3月までに買っておこうと思うのは、人情だろう。

しかし食料品のような生活必需品は、買いだめもできないし、一個当たりの売価も安いので、そんな大きな影響はない。
それよりも消費者が、消費税が上がったから不要不急なものを買わないと、穴籠もり意識になる方が心配だ。
安倍晋三は、だからこそシャカリキになって「4月には賃上げ」と先導しているのだろうが、果たしてこんな政策でうまくいくのだろうか?
未だに高い支持率を維持している安倍晋三だが、その最大の謳い文句である経済政策に関しては大いに疑問がある。

今回のアベノミックスは、端的に言えばインフレ政策だ。
「物価も上がるが、賃金も上がる」ので、可処分所得は従来と変わらないが、賃金が上がった分だけ、金持ちになった気がして、消費が増大するのが基本ベースとなっている。
しかし振り返ってみれば、バブルの時期までは給料は毎年上がっていた。
その結果、日本の賃金は世界最高レベルになってしまい、労務費負担のせいで企業の収益は激減、結局は安い労働力を求めて、中国をはじめ発展途上国に生産拠点を移さざるを得なくなった。
一般的には、円高の所為で企業の海外移転が進んだと言われるが、世界一とも言われた日本の高賃金体系も決して無縁ではなかった。

国内では、各企業ともあの手この手で賃金上昇を抑え、この20年間はほとんど給料が上がることはなかった。
この間成果主義が横行したが、これは成果を達成した一部エリートの給料は上げるが、その他大勢は良くてステイ、下手をすれば給料カットする制度を、耳触り良く言い表したに過ぎない。
失われた20年と、アベノミックスが諸悪の根源と断ずるデフレ時代だった。
デフレを忌み嫌う安倍晋三や経済界だが、時代がデフレになったのはそれなりに理由がある。
いくら安倍晋三が旗振りになって賃金アップを実現しても、それは一時凌ぎに過ぎない。
今回はお付き合いで賃金を上げても、来年にでもなれば「先の見通しが暗い」とかの理由で、多くの企業は再度の賃上げには二の足を踏む。

そもそもバブル時代には、インフレこそ諸悪の根源とみられ、必死に対策が講じられていた。
また発展途上の諸外国の多くは、ほぼ例外なくむしろインフレに悩まされている。
安倍晋三は、コントロールされたインフレを目指しているだろうが、未だかってこんな難しい問題をクリアできた時代はなく、一旦インフレに火がつくと、人知の及ばない世界に突入してしまう。
円安、株高、インフレ志向のアベノミックスについては、全般的には歓迎ムードが漂っているが、経済の処方箋に「絶対」はない。
アベノミックスの裏側に潜むリスクも正確に理解しておかないと、数年後には苦労して貯めた貯蓄の目減りに嘆く日が来るに違いない。